2017年12月05日

「怪物事変」1巻を読みました



田舎の静かな村で、家畜が次々と変死するという奇妙な事件が起きておりました。
事件解決の為に東京から呼ばれた「隠神」という派手な格好の男。
調査の途中で男は、村に住む「泥田坊」と呼ばれる不思議な雰囲気の少年と出会うのでございます。
数奇なる怪物物語、これより始まり始まり――。
(コミックス1巻裏表紙より)

ジャンプSQで連載中の「怪物事変」1巻を今さら読みました。
藍本松先生の「保健室の死神」が好きなので、1巻をすぐ買っていたのですが読むタイミングを逃して、やっと読めたので感想を吐き出してみます。
ちなみに、今になって読んだ理由は

これです。
漫画家さんからもらったことのある年賀状は、サイン会でファンレターを渡した西森博之先生だけなんですが、貰えると思っておらずとても嬉しかったので、こうして確実に貰える企画があるなら送らざるを得ません。
という不純な動機でやっと1巻を読みましたが、もっと早く読んでおくべきでした。
やはり面白いです。

〇ストーリー
面白いです、とは言ったものの、1巻の時点では今後がどうなるかわかりません。個人的な印象としては、まだプロローグも終わっていないのではないか…?と思うほどです。
月刊誌ゆえのスロースタートなのか、全容が見えてきません。
怪物同士の戦いになっていくのか、夏羽の両親を巡る旅になっていくのか、もしくは両方が混ざり合って進んでいくのか…?という大雑把な予想しかできません。
物語的な面白さがどうか?というのは2巻以降でわかるのでしょう。

〇主人公・夏羽
ストーリーがどうなるかまだわからないのに読み続けたいと思うのは、この少年が主人公だからです。
藍本先生の表情を描く力がすごい、と思わされる主人公です。
産みの親から捨てられたと思い込み、育ての親や年の近い他の子どもから邪険に扱われ、感情を捨てて生きてきた少年と書いてしまうとありきたりですが、藍本先生の画力によって目だけで感情が読み取れるので、なんかもう愛おしいです。幸せになってほしい。
夏羽が本当に笑った時に泣く自信しかないです。

〇隠神
いい人だから死にそう……。2巻の表紙なのもかえって不穏です。

〇シキ
100%いい奴だというのが言動から隠しきれていないのがもう好きです。
明るいだけでなく、なにかを抱えているのが数コマの描写で伝わるのも好きです。

〇アキラ
かわいい。
夏羽を紹介された時に「シキと一緒だね」と言っているので、彼は純粋な怪物なのかな…?と予想できますが、見た目とのギャップが大きいのか、もしくはより美しくなるのか正体判明に期待が膨らみます。
1巻ではまだ細部がわからないものの、男3人組というのは「保健室の死神」のアシタバたちを思い出すので、間違いない組み合わせですね。

〇一番好きなシーン

01

普段は無表情な夏羽が、自分の死を目前にして作り笑いをして嘘をつく1話ラスト付近の一場面です。
目の光が消えて、この後も1回も上がらない口角を無理矢理挙げるカットがすごいし辛い。
嬉しそうにしている他のシーンと比べると本当に辛すぎる……。
でも、この描写だけで藍本先生の演出力の高さが一発でわかるすごいシーンです。

〇その他気になったところ
・1話の冒頭で鹿の子村は「鹿を敬う」と説明がされていて、1話の真犯人は鹿の屍鬼。これ女将さんは知ってたんじゃないですか…?と想像させる余地があるのがすごい。作りこみが細かいです。
・コンソメパンチ味のおにぎりってあるんですか!?

この感想を書いてる途中で2巻、3巻を買ってきたので、これを書いたら2巻を読みます。
2巻の感想も書きたいです。

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comic_review_10 at 23:47|PermalinkComments(0)漫画感想 

2017年12月01日

実写版「鋼の錬金術師」を見ました

鋼の錬金術師4コマ (ガンガンコミックス)
荒川弘
スクウェア・エニックス
2017-11-22


実写版「鋼の錬金術師」が今日から上映開始しました。
最近たまたま全巻読み返していたのと、0巻が欲しかったのと、映画の日で料金が1,000円だったので、公開初日に見てきました。

原作は完全版で全巻持っている程度で、特定のキャラクターに思い入れがあって改変は許さない!なんて思ったことはありません。
その程度の緩いファンですが、トータルの感想としては良かったです。

ハリーポッターの次はこれだ!とか言い出す意味不明のCMや、
試写会を見た人が漫画の1シーンのセリフを改変して改悪だ!と言いながら堂々とネタバレをしていたのを見てしまったので期待が薄まっていて、それこそ0巻をもらうために行くか……くらいの気持ちでしたが、もう1回言います。良かったです。
アニメ版を許容できた人は「実写化したらこうなるかな」くらいの気持ちで見られるのではないでしょうか。

映画の内容について幅広く、しかも最後までネタバレして書いているので劇場で見る予定の方はご注意ください。




〇良かった点

・ストーリー
1巻からホムンクルスのラストを倒すところまでを、過去編無しで、傷の男(スカー)やアームストロング少佐、ハボック達など多くのキャラクターを削って、2時間くらいにまとめています。
大胆に切り貼りしているところがあるものの、ストーリーに大きな破綻が無くよくまとまっているな、という印象です。
タッカーの出番を増やし、原作終盤で登場した賢者の石をエネルギーにした不死の兵隊の群れを出すことで、エルリック兄弟の罪とあわせて「錬金術で生命を弄ぶこと」の愚かさや無謀さが強調されていたように感じました。
大総統が出ないことで、軍の闇の部分をハクロ将軍が担っており(!)、ホムンクルス組とも別行動を取る第三勢力として(!)活躍したのには驚きましたが、「もう誰にも支配されない」的なことを言っていたので、セントラルで大総統の秘密を知って、従えずに左遷されてきたみたいな設定なのかなと補間しています。
1本の映画としてまとめる以上は着地点が必要なので、「アルの肉体と再会して、元に戻せる希望を持って終わる」というのは綺麗な終わり方でした。


・エドとアル

エドについては率直に「弱くなってる」と思いました。弱音を吐いたり、泣くシーンが非常に多い。
ただ、弱くなっているからこんなのエドじゃない!という意味ではなくて、
(主演の山田涼介さんが他に出演している映画・ドラマなどを見たことがないので何とも言えないのですが、)山田さんが演じることによって生まれた新しいエドなのかな、という見方をしています。
過去編は描かれていないので、師匠のイズミに出会わないで独力で強くなった世界のエドなのかな……なんて思ったりもしました。
が、最大の改変ポイントであり、映画を通して一番良かったポイントだと思ったのが「アルとの喧嘩で、機械鎧では殴らない」ところです。たぶん原作のようにエドが強かったら生まれなかった名シーンなのではないかな、と。
アルはフルCGなのがすごい!くらいのものでした。活躍が少ないのは動かすのが難しいからなのか……。真理の扉を開かせられたせいで早々に手合わせ錬成が出来るようになったのは燃えました。
2人とも後半はほぼ脇役と化していたのが残念でした。

〇大佐
後半の主役ですね。
原作、アニメ以上に「炎は強い」ということを視覚的に見せてくれました。火炎放射は強すぎるし、指パッチンを連発した方がビジュアル的に格好良いのでは……とは思いましたが。
試写会を見てキレた人の感想で「原作とは違う選択をした」ことがありましたが、原作とシチュエーションが全く違って、今回はヒューズ中佐が殺された直後であり、原作は大総統と関わり合うことなどの経験も経てできるようになった選択だと思っているので、そりゃ今回の状況だと殺すしかないのでは…?と思ったので、全然気にならなかったです。

〇ホムンクルス組
ラストについては、ソラリスとして人間社会に溶け込んで人間のことを少しだけ知ったことや、マスタングを喪った(と思った)ホークアイの涙を見たことで人間が「愚かで悲しい生き物」だと心から理解できるようになった変化が好きなキャラクターなので、ビジュアルだけじゃなくて内面にも踏み込んで欲しかったとは思ったものの、今回はラスボスだったのでマルコーを殺して残酷な一面を強調していたので、こっちに振り切って描かれたのもアリかなとも思いました。
最期に「死ねるから人間と同じ」だと言ったのは、エンヴィーがコーネロ教主を殺すときに言った「偽物がいなければ本物」とあわせて、ホムンクルス組の人生観が垣間見えて好きな演出です。
グラトニーはけっこう早くから正体を(影で)現していて、描写的に人間の見た目で人を食べるシーンは規制的な意味でダメなのかなと思いました。見た目はすごい再現度ですね。
エンヴィーは尺に負けた感じですかね。

〇コーネロ教主の錬成
まさかのノーモーション錬成で初戦から難易度高いな!と思いました。
エドが最後に真理の扉へ向かった時に錬成してたか?と気になったので、併せて考えて「実写版設定での賢者の石はノーモーション錬成(お父様と同じ能力)が使えるのかも」という説を思いつきました。自分の中では辻褄が合うのでそういうことにします。
それと、原作では合成獣が出てきたのに、岩からできた疑似生物に改変されていたのが激熱ポイントでした。こうすることで、生命を弄んだ錬成を現代の時間軸で行ったのがタッカーだけになるというのは考え抜かないと思いつかない改変ではないでしょうか…!
最初は見ながら「無機物から生命作ったらダメでしょ…!」と思っていたので反省しきりでした。


〇良くも悪くも気になった点
・木の板で物理的に遠くへ持っていかれそうになるアル
・お布団アル
・↑のシーンで整体師にしか見えない大泉洋さん
・また会おう!の大泉洋さん(笑いそうになってしまった。回想でまた出てきて笑いそうになった)
・火炎放射の錬金術師
・機械鎧のすごさ=ウィンリィのすごさや背景が原作未読の方には伝わらないのでは?と思った
・ウィンリィの出番が増えているのに伴って足を引っ張るシーンが増えていた
・機械鎧って壊れたらあんなにバチバチ鳴るものなの?(アニメ版を見たくなった)
・バトルが少なめで、ストーリーで感動させたいのかな、と思う構成。エドの強さがもう少し見たかった
・ギャグが少ない。原作の通りにやると漫才みたいになりそうなので無くてよかったかなとは思いますが
・エドが小さいと言われても大して怒らないし、何ならエドがいないところでアルがいじってた
・マルコー死んだけど続編でどうするのか
・原作で格好良いシーン(例:格の違いを見せてやる!など)があんまり格好良くなかった
・↑で言えばラストバトルで「俺たちの」になった時にあまり映えなさそう
・「真理」がチャラい
・最強の矛を折られて痛そうなラスト(爪が折れた時の人間っぽい)
・エンヴィーが弱い
・エンドロール後のあれ。「ガッチャマン」とかでも見ましたけど日本映画ってああいう終わり方しないとダメなんですかね!?
・↑なんですが、試写会ネタバレで「殺しちゃうから改悪!」とか言われていたので、死んでなくてほっとしました。
・↑これによって2作目以降で絶大なアドバンテージを得た彼
・↑でもグリードあたりにさらっとバラされそう
・やっぱり日本人で横文字の名前は気になる。でも1/4過ぎたくらいで慣れた


〇良くなかったなと思った点
・アルをタッカーに預けるエド:これはエドとアルの兄弟愛が好きなファンは許せないかもしれない……と思いました
・ホークアイ中尉が弱い:戦闘能力、存在感ともに。マスタングがやられて弱いところを見せるでもなく、アルやウィンリィと気さくに会話する優しい一面もないという中途半端さが勿体なかった。他の兵士が狙えない距離で1人だけ人造兵士を1体倒すとか見たかったです。
・「ずっと怖くて言えなかったことがあるんだ」が無かったこと。この前振りがなくてアルがエドに不信を抱いてほしくはなかったかな……と思いました


気になるところが長くなりましたが、また近いうちに原作が読み返したくなる、良い実写化だったと思います。
最後になりますが、入場特典・コミックス0巻の描き下ろし漫画もとても良かったです。
ここにきてタッカーのことがもっと嫌いになれるとは思っていなかった……。


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comic_review_10 at 21:55|PermalinkComments(0)雑記 

2017年09月11日

「火ノ丸相撲」第二部1話(第160話)を読んで

「火ノ丸相撲」第二部・大相撲編が始まりました。

高校相撲の団体戦が決着してからの展開は、どう見てもエピローグだったので毎週読んでいても連載終了の不安が強く、純粋に楽しめませんでした。なので、先週の引きで「第1部 完」の文字を見てやっと安心できました。
そして待望の第1話2部を読むと……

「大相撲力士としてのハッピーエンドが見えないんだよなぁ……」

えっ

無題2


えっ

無題


えっ






まるで「鮫島 最後の十五日」じゃないか、と。
「鮫島~」は、週刊少年チャンピオンで連載中の作品で、同じく相撲が題材の作品です。
幕下編(「バチバチ BURST」)までは小柄な主人公の鯉太郎が快勝する展開が続き、このまま横綱になれそう!と思っていました。
が、最終章の現在は、鯉太郎が幕内力士になってからは、身体を壊しながら、何とか気合で相撲を取っている状況が描かれています。
今のところ、横綱に勝った鮫島が死んで終わりそうな気がしています。

「火ノ丸相撲」第二部は「とある灼熱の夏の物語」とのことで、一つの場所を切り取って描くようで、それも「最後の十五日」というフレーズと何となく一致して恐ろしいです。
火ノ丸も横綱になる前に死ぬのか…?という不安が強くなりました。
なので、「火ノ丸相撲」と「バチバチ」の違うところを挙げて、自分の不安を和らげることにしました。

〇少年漫画的な必殺技の有無
火ノ丸には必殺技があります。決まれば勝てる!
実際、火ノ丸の「百千夜叉墜」は幕内力士にも通用しています(未完成だったので一瞬で破られはしましたが)

〇火ノ丸の経験値
鯉太郎は不良から力士になり、学生相撲を経験せずに空流部屋に引き取られることになりました。
そして何より、高校時代の火ノ丸は3年間敗北の屈辱に耐えて、そこから這い上がってるんですよね。
第二部の導入部は、第1話以前の火ノ丸が味わった中学時代の挫折が再度訪れたようなものです。1回克服してるんだから大丈夫、なはず。
最終ページがカラーというのも、これからの希望を感じさせる構成だと感じました。


……あんまり違いが挙げられませんでした。
不安を吹き飛ばす要素が見つかったら教えてください。


〇時系列を整理してみる

ただの自分用まとめですが載せます。

【~159話】火ノ丸・高1
IH団体戦:優勝 → 全日本相撲選手権大会:三位 → 「三段目付出」の資格を得る。
159話(第1部最終話)は三月場所の1日目、火ノ丸が勝ったところで終わっている。

【160話①】火ノ丸・16歳(誕生日が11月なので学年でいえば高2)
格付けは、三段目 → 幕下 → 十両 → 平幕(「前頭」以降)と上がっていくようです。
場所の数は六つで、呼び方は「一月場所」「三~」「五~」「七~」「九~」「十一~」とのこと。
三月から九月で四つ上がっているので、火ノ丸が負け越しなしで各場所を順調に勝ち上がったのは間違いなさそう。
そして、九月場所にて負傷。

【160話②】火ノ丸・18歳(学年でいえば現在は大学1年)
現実に則るなら、「名古屋場所」は七月らしいです。

前頭に戻るまでの2年間に場所が十もあったのがポイントかな。
火ノ丸より二つ上の幕下からスタートした天王寺と、
火ノ丸より三場所早く角界入りして、累計十八場所目の久世草介はどうなっているんでしょう。
ちょっと調べたら、大関になっていても現実とそう大差は無いようなので、大関・草薙は充分ありそうです。天王寺は大関が有力視されている関脇かな。

時系列のことをいうと、


数珠丸くんの留年は無かったようです。よかった。


〇こんな展開が見たい!

楽しい話もします。

取り組みでいえば、これは外せません
・火ノ丸 対 刃皇
・火ノ丸 対 久世
・火ノ丸 対 天王寺
・火ノ丸 対 桐仁
・火ノ丸 対 部長
・火ノ丸 対 沙田
・火ノ丸 対 典馬(大典太)
・火ノ丸 対 数珠丸(数珠丸の救済)

日程の半分が埋まってしまいましたが、これは全部見たいです。
2年が経ったことで、火ノ丸の同世代は高校を卒業しています。つまり、石神に3年間尽くしてから角界入りした沙田(高3で高校横綱になってそう)、監督から解放されて純粋な力士になった桐仁が見られる可能性は高いです。
数珠丸を挙げたのは、これまでの川田先生の丁寧な作風から、「高校では他の国宝に負けて、火ノ丸を怪我させて終わり」な訳が無いと確信しているからです。最新16巻では、蛍を怪我させた首藤が謝罪するシーンが幕間の1コマとして描かれていたくらいですから。

あとやはり、大相撲の世界に進まなかった登場人物たちも気になるところです。
特に

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加納(国宝・大兼平)は絶対に見たいです。
大学へ進学した彼の近くにいるのは、火ノ丸に人生を変えてもらったユーマと、火ノ丸の熱を受けて相撲と向き合っていく決意をした金盛主将(石神が好きなので主将と呼んでしまう)がいます。
わざわざ第一部の最終話に出てくるくらいですから、彼が何かしらの重要な役割を担っている……なんて想像をしてしまいます。
火ノ丸の相撲で道を見つけた2人が加納を救って、その加納が火ノ丸を救うキーパーソンになる展開がきたら泣いてしまいそうです。


まとまっていませんが終わります。
結局、何が言いたいかというと、第一部で終わらずに大相撲編へ続いてくれた「火ノ丸相撲」は最高です、ということです。
あと、「バチバチ」シリーズも最初から今まで全部面白いので、火ノ丸が面白いと思っている人にはぜひ読んでほしい、ということです。




「鮫島、最後の十五日」の最新14巻(通算では42巻目)は鮫島の弟弟子の取り組みが描かれていましたが、相手の掘り下げも含めてすごく好きな展開で、最高でした。 
両作品とも、これからも最高の熱量で突き進んでほしいです。







第二部開始の19巻表紙は、これと同じ構図で幕内力士になった火ノ丸が描かれる、と予想しておきます。

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comic_review_10 at 17:16|PermalinkComments(0)ジャンプ感想 | 火ノ丸相撲