2016年07月24日
永椎晃平「星野、目をつぶって。」1巻 感想
「これから楽しいこと沢山あるよ。楽しい思いをした時にもきっと誰かを描きたくなるよ」
週刊少年マガジンで連載中の「星野、目をつぶって。」の1巻が発売されました。
マガジンは雑誌で追っていないのですが、永椎先生の前作「放課後ソードクラブ」が面白かったので作家買いをしました。ここ最近、話題作の1巻が色々と出ていますけどそれらに引けを取らない面白さというか、ここ最近の新作の中でもかなり好きです。買ってよかったです。
昼休みは寝たふりをして過ごしているような、冴えない高校生活を送っている美術部の少年・小早川が、自分とは真逆の輝かしい―小早川にとっては鬱陶しくもある―存在の星野海咲の「秘密」を知ったことで関係が生じ―!?という感じで物語が始まります。
星野の「秘密」は1巻カバーのあらすじでも上手く隠されているので、ここでも書かないでおきます。
ラブコメでよくある、冴えない主人公が学校一の美少女と偶然共通点があって近づく、というのではなく星野の「秘密」が軸になっているのが肝ですね。ある意味では学校一の美少女なんだけれど、そうでもない側面もある、という不思議な構造になっているのが上手いです。
あと、それを強調するかのように、彼女の性格が「秘密」を守るには生き辛いのも好きなところです。
星野が何故そういう生き方を選んでいるのか、という所は1巻だけではわからないんですが、気持ちの強さは描写されているので違和感だったり説明不足は感じませんでした。
主人公の小早川にはすぐ感情移入できてしまって、1話で星野が
こう言った時はもう駄目かと思いましたが(辛くて読めなくなる危険)、この言葉は星野自身の努力があってこそ出てくるものだったので、自分の好きなタイプではないヒロインなのでは……という危機を1話で彼女自身がぶち壊してくれたのがよかったです。
さっきも言いましたが星野は努力家で、加えて他人を放っておけなくて、自分が汚れるのを厭わなくて、でも見た目は美しくありたいというアンバランスさが魅力的です。
いずれ「秘密」がバレる展開は必ず来ると思いますが、彼女の持つ強さは最後までずっと見ていたいです。
それと、作品にはもう一人のヒロインがいます。
この松方さんが可愛いんです…!
この子の成長や、星野との三角関係が描かれていきそうなので先がとても楽しみです。
弓削先生も関わってきてトリプルヒロインになるのか、あくまで先生ポジションなのかも気になるところです。
あと気になると言えば、作品のタイトルです。
これもうタイトルの時点で勝っている作品だと思うんですけど、2巻で意味が判明しそうなので待ちきれません。
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