2015年07月

2015年07月27日

ヨアケモノ 第弐話「新撰組」 感想




○前回の「ヨアケモノ」

・銀、死す
・松永主善、死す
・刃朗、新撰組へ入隊を決意


○入隊試験

新撰組の門を叩いた刃朗は、"逸番隊"隊長の沖田総司と戦う入隊試験に挑むのだった―
って、いきなり沖田総司と戦わせる試験とか酷すぎませんか……。
それだけでなく、獣刃によって身体能力が上がっている新撰組隊士ばかりがいる現状で、彼らが鍛錬に使用している木刀と同じものを使って入隊試験に臨めというのは今見るとこれまた酷いですね。

この後に待ち受けている「死んでもいいから岡田以蔵と戦わせる」作戦といい、ヨアケモノ新撰組は少年漫画の味方組織にしては劣悪な環境と言わざるを得ません。
ただ、脱退=切腹だったらしい等の厳しさを考えると史実に則しているとも言えるんでしょうか。

さて、今回の目玉といえば満を持して登場した沖田総司です。
(ここでは沖田さんと呼びます。)
1話では松永主善にナメられていることが判明し、正式な登場前から格を落としていた沖田さん、2話ではまだギリギリ強い雰囲気があります。
……ありますよね?
ザコ相手にすら不意打ちをするなんて、沖田さんは最初から沖田さんだなと思う一方で、本気を出さないように戦っている節がある(単行本オマケでも書かれている)ので、最小限の力を使った結果だと思う事にします。
ヒロインになりそこねた町娘も無傷でしたし。

そんな沖田さんからアドバイスを受けた刃朗は修行として薪割りを始めるのでした。
これが刃朗が”獣刃”の力を初めて使用した瞬間なのでした…!
でもって、1話では「これは期待できる新連載だ!」と思ったのが崩れた瞬間でもあります。


○いまさら考察~獣刃の行方

幕府側の獣刃が残り十一本しかないと2話の時点で判明したのを今になって改めて考えてみると、芝田先生の中では大筋のストーリーは出来上がっていたのかもしれません。
(と言っても、史実に"暁刃朗"という要素を加えて再構成した物語なので、誰に何の獣刃を持たせるかが決まっていたというべきか。)
伊東編がこの後に待っていて、そこで半数くらいは消費される予定だったにしても、十一本の行方が気になります。徳川慶喜も獣刃を呑んで戦うなんて展開があったんでしょうか。
それとも、二本目の獣刃を呑んで更なるパワーアップ(刃朗の二刀流が布石)なんてことも…?

関連して気になるのが、松永主善に獣刃を与えた時点ではもうちょっと数があったのかどうかです。
残り十三本の時点でスパイに使ってしまったのだとしたら、脳筋集団と言わざるを得ない……。


○おわりに~今週の沖田さん

うあっぷ


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2015年07月18日

ヨアケモノ 第壱話「山犬」 感想






「ヨアケモノ」連載開始から、本日発売のジャンプで1周年!

ということで、振り返って感想を書いてみました。

○どんな作品?

連載開始から1年経ち、連載終了からも1年近く経つので少しだけ説明をします。
簡単に表すと、幕末に実在した「新撰組」をジャンプ的にアレンジした作品です。
刀で戦うだけのバトル漫画ではなく、「獣刃」とよばれる動物の力を秘めた刀が登場するのが特徴です。
新撰組だけでなく敵も「獣刃」を所有しており、動物の力をぶつけ合って戦うバトルシーンは見どころです。作者の芝田優作先生の、デビュー作とは思えない画力の高さも相まって戦闘描写はかなりのモノに仕上がっており、今読み返しても興奮します。
史実には存在しない暁月刃朗が主人公を務めているのも特徴です。「先に長州藩の誰かに会っていたら新撰組と敵対していた」と言われるほどの無知純粋さを始めとした尖った特徴を持つ、なかなかオモシロイ少年です。
あと何といっても、有名な沖田総司が弱いのがすごいです。
「ヨアケモノ」が新撰組をモチーフにした作品のなかでも異彩を放っている一因であることは間違いありません。

そんな作品です(どんなだ)。


○初回から濃い戦闘!

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第壱話の見どころは何といっても、刃朗&銀VS松永主善でしょう。
初回からこんな戦闘が見られるとは…!と興奮したのを思い出します。
腕が落ちるわ、顎が切り裂かれるわ、相棒の銀は死ぬわ…と、いきなりやってくれます。
「なるほど…拙者の脇差か」と「零点の答えだ」は、ページを跨いだ演出と合わせてシビれます。
(前者は、見慣れてくるとフキダシの「ぼとっ…」に笑ってしまいますが)

一方で、この戦闘の結果によって主人公・刃朗の行動原理が薄くなってしまったのでは?と今になって思うところがあります。

まず、作品世界の設定を刃朗と読者に語ってくれた銀がいきなり命を落とします。
このことで刃朗は道標を失い、最終回まで「難しいことはわからない」と言い続けることになりました。
読切版(リンク先感想)では、相棒の銀がいないので刃朗が自らの意思で新撰組へ入隊する決意をしています。連載版では銀の遺志を継いで新撰組へ入隊することを決意するものの、新撰組に対する理解があまりにも薄く……その後の刃朗の言動はご存じの通りです。

そして、この銀を殺した松永主善を倒したのは刃朗……ではなく土方でした。
相棒の敵討ちのため新撰組へ入隊し、復讐鬼として生きることになった刃朗は近藤、土方、沖田など本物の武士に感化されて目覚めていく……ということはありません。
仇の松永主善は刃朗が気を失っている間に死んでいます。
刃朗は1話で相棒を失うだけでなく、相棒の命を奪った仇を倒すという目標も奪われてしまうのでした。
この点については、明らかに失敗だよ…!というよりは、勿体ない設定だったなという印象です。


○いまさら考察~銀の出自は?

「ヨアケモノ」で気になる点を考えてみます。
今回は1話で退場してしまった銀です。彼は一体何者だったのでしょう?

坂本龍馬がオーバーテクノロジーなサングラスをかけていたり、色々とジャンプ的な要素はあるものの、キャラクターの髪の色は普通なのが「ヨアケモノ」の特徴です。
(近藤局長の金髪は獣刃(金獅子)が影響していると考えられます)

そんな中、銀はコミックスのキャラクター設定で「銀髪」とはっきり書かれています。
最後まで正体のわからなかった「黒船の男」が外国人である可能性を考えると、銀が只者ではなかった可能性がどうしても捨てきれません。

きたないナルミこと中村半次郎が加藤鳴海に類似したマスクをしていることから、藤田和日郎先生の影響を受けたことが少なからず考えられます。
ということは、1話の時点からとんでもない伏線を張っていた可能性があってもおかしくない。そうは思いませんか?

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この笑顔に隠された銀の真意とは…?
「名を揚げる」ことで一体何をしようとしていたのか……?
1話の扉絵を改めて見ると、土方の首に銀の刀がかかっている所も見れば見るほど怪しいです。
ひょっとすると銀が黒幕だった、という可能性もあるのでしょうか。


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○おわりに~今週の沖田さん

沖田さんは屯所に残っていたのに松永主善に反逆される(ナメられている)

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