2016年07月

2016年07月27日

架神恭介・渡辺義彦「放課後ウィザード倶楽部」1巻 感想




「それにこれゲームだろ?」

原作者の架神先生の作品(「戦闘破壊学園ダンゲロス」など)が好きなので、「放課後ウィザード倶楽部」1巻を買ってみました。チャンピオンは雑誌で追わなくなって久しいので「実は私は」以来の新作購入です。

普通の少年・須賀那由多は、ある日夢の中でRPGゲームのような冒険をし、リアルな死の体験に恐怖を覚える。明晰夢だと思っていたが、友人のニトリとサンチョも同じ体験をしており、次の日に夢の中で3人は出会ってしまう。そして、お宝や強い魔物、格好良くて強い魔術師・シモンと出会い、夢の世界「ハイカキン」での楽しい冒険が始まるように見えたが…!?というような導入です。

1話のラストで主人公じゃない味方キャラが良いところを持って行ってしまったので、どう読めばいいのかピンと来なかったんですが、主人公そっちのけでガチの集団戦闘をはじめるモヒカン(見た目以外はモヒカンザコではない)あたりで「そう来たか!」と思わされました。
初心者の那由多たちがゼロから冒険を初めていくのと、ベテランプレイヤーのシモンやモヒカンの手慣れた冒険の様子を同時に描くことで、レベルが上がっていくとこういうことが出来ますよというのを1巻から見せてくれています。
が、モヒカンが悪目立ちしすぎている反面、主人公たちがあまり個性的でないのでこの先好きになれるかちょっと不安です。

1話冒頭では那由多が「エルシオン」(1巻のボスとして出てきた鎧騎士側)の何人かと行動を共にしていたので、シモンが実は悪い奴で当面の大ボスになったりとかもするんでしょうか。シモンは悪い奴のようにも見えるけど、うどんさんが悪い奴だったら嫌です。
あと、エルシオンが良い奴らだとすると、初心者プレイヤーを即殺して「死の恐怖」を植え付けることでゲームにハマらせない目的があるとかそういう感じなんでしょうか。那由多は死の恐怖を知っているのでエルシオンの思想に共感するのも早そうです。
…などと考えても裏をかいてきそうな展開なので(エルシオンが悪い組織で羽生たちが抜けるとかもありえる)、あまり深く考えないようにしたい所ですが、世界自体に謎があるので色々考えてしまいます。

ただ、1話冒頭で那由多が1巻のボスとして出てきたリリィと共闘している描写があるのと、1巻の最後でエルシオンが何かしらの目的を持っていて「ハイカキン」の世界そのものと戦うような展開になっていく、というのがわかってしまうのは展開が早すぎる気もしました。「放課後ウィザード倶楽部」という少しゆるめなタイトルに似合わないシビアな展開が来る気配を匂わせるのが早すぎると言いますか。
もうちょっとダラダラと冒険していてもよかったかなと思うのですが、チャンピオンはシビアでコミックスが出ないこともありえるので悩ましいところですね。

どうやら2巻が9月に出るようなので続きも購入して読み進めてみます。

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comic_review_10 at 23:56|PermalinkComments(0)漫画感想 

「BLEACH」 ユーハバッハに鏡花水月が効いた理由を考えてみた



「BLEACH」が終わろうとしています。
73巻巻末の次号予告によると、74巻で終わるとのことで物語は今まさにクライマックスを迎えています。
未来を改変することができるラスボス・ユーハバッハを前に、
かつて一護の心を砕いた月島が、今度は一護の砕けた心を救い、
かつて死闘を繰り広げた藍染と共闘するというものすごく熱い展開です。

そんな中、藍染の斬魄刀「鏡花水月」の能力・完全催眠がユーハバッハに効きました。

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ユーハバッハに一泡吹かせてやったぞ、とでも言うような笑みを浮かべる藍染が滅茶苦茶格好良いです。
しかし、「全知全能」によって未来が視えるどころか、自身の有利なように未来を改変できる力すら持つユーハバッハに「鏡花水月」の能力が効いた理由が一読しただけでは落ちてこなかったのですが、少し悩むと自分なりの答えが見つかったので書いてみます。

前提として「ユーハバッハは完全催眠にかかった状態で「全知全能」を使用した」という説を採っています。


①「特記戦力」としての藍染惣右介


理由は2つあり、答えを一言で表すと「霊圧」になります。

1つ目は藍染が、ユーハバッハの認める「特記戦力」だということです。
霊圧だけを切り取ればユーハバッハの知る死神の中で最高なので、
鏡花水月の完全催眠が効いてもおかしくないというわけです。

補足的に、そもそも霊圧の高さが何なのか?という話をしておきます。
かつて砕蜂の斬魄刀・雀蜂の「弐撃決殺」が藍染に効かなかったことがありました。

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「霊圧で全て抑え込んでみせる」と言っているように、
どんなに特殊な能力であっても霊圧の差が大きければそもそも効かない、ということを藍染自身が証明しています。

それと、最終章序盤の尸魂界侵攻時にユーハバッハは藍染に会い、そこで「時間の感覚をわずかに狂わされて」います。
「全知全能」を使用していない素の状態とはいえ、ユーハバッハに藍染の能力が効くのは証明されているので、描写に矛盾がないことも付け加えておきます。


②一護、恋次、藍染の霊圧の質


もう一つ、一護の「虚」「滅却師」の力が奪われてしまっており、
一護、恋次、藍染の霊圧の質が全て「純粋な死神」のもので統一されているのも完全催眠が効いた理由として考えられそうです。
鏡花水月の詳細はで把握しきれていませんが、誤認させる対象によってかかってくる力も違うはずなので、ユーハバッハが一護から力を奪ってしまったゆえに、自身が完全催眠にかかるピースを揃えてしまったのかもしれません。


○完全催眠は効いたけど……

ただ、疑問や不安が残ります。

まずは「純粋な死神力しか持たない一護の放った月牙天衝」がユーハバッハに効くか?というのは疑問なので、完全催眠はせっかく効いたのに必殺の一撃が効かないというのはありそうです。
滅却師の天敵である虚の力が加わった一撃なら確実に終わっていたと思うので、ものすごいバランスで物語が成り立っているなと改めて思うのでした。

不安な点としては、ユーハバッハは完全催眠をあえて受けた=藍染をぬか喜びさせるために芝居を打った可能性がある、
なんでかというと―

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かつて自分が隊長格と集団戦をした時(45巻)に似すぎているんです。
この時は、日番谷の一撃が決まって次回へ続き、次回で「完全催眠が効いていて藍染に攻撃が届いていなかった」という事実が明かされます。
今回、一護もユーハバッハを後ろから刺しています。
(一護が後ろから敵を刺したのも1つの考えるポイントとして面白いのですが今回の内容と違うので触れません)

久保先生が遊びを入れて描いてくれただけならいいですけど、
ユーハバッハが遊びを入れて戦っていたなら最悪です……。

あと、過去描写のオマージュとしては、市丸ギンを殺した時の藍染がちょうど左腕を切り落として、胸を刺しています。
藍染も同じ状況になっているのが皮肉というか何というか……。

ギンの言葉を借りるなら「胸に孔が空いて死ぬんや 本望ですやろ」という所でしょうか。
藍染が本当に嬉しそうな顔をしているので、ここで死ぬのは本望だと思っていそうですが、
願わくは完全催眠が本当に効いていてほしいものです。

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comic_review_10 at 00:42|PermalinkComments(0)BLEACH | 考察みたいなもの

2016年07月24日

永椎晃平「星野、目をつぶって。」1巻 感想



「これから楽しいこと沢山あるよ。楽しい思いをした時にもきっと誰かを描きたくなるよ」


週刊少年マガジンで連載中の「星野、目をつぶって。」の1巻が発売されました。
マガジンは雑誌で追っていないのですが、永椎先生の前作「放課後ソードクラブ」が面白かったので作家買いをしました。ここ最近、話題作の1巻が色々と出ていますけどそれらに引けを取らない面白さというか、ここ最近の新作の中でもかなり好きです。買ってよかったです。

昼休みは寝たふりをして過ごしているような、冴えない高校生活を送っている美術部の少年・小早川が、自分とは真逆の輝かしい―小早川にとっては鬱陶しくもある―存在の星野海咲の「秘密」を知ったことで関係が生じ―!?という感じで物語が始まります。
星野の「秘密」は1巻カバーのあらすじでも上手く隠されているので、ここでも書かないでおきます。

ラブコメでよくある、冴えない主人公が学校一の美少女と偶然共通点があって近づく、というのではなく星野の「秘密」が軸になっているのが肝ですね。ある意味では学校一の美少女なんだけれど、そうでもない側面もある、という不思議な構造になっているのが上手いです。
あと、それを強調するかのように、彼女の性格が「秘密」を守るには生き辛いのも好きなところです。
星野が何故そういう生き方を選んでいるのか、という所は1巻だけではわからないんですが、気持ちの強さは描写されているので違和感だったり説明不足は感じませんでした。

主人公の小早川にはすぐ感情移入できてしまって、1話で星野が

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こう言った時はもう駄目かと思いましたが(辛くて読めなくなる危険)、この言葉は星野自身の努力があってこそ出てくるものだったので、自分の好きなタイプではないヒロインなのでは……という危機を1話で彼女自身がぶち壊してくれたのがよかったです。
さっきも言いましたが星野は努力家で、加えて他人を放っておけなくて、自分が汚れるのを厭わなくて、でも見た目は美しくありたいというアンバランスさが魅力的です。
いずれ「秘密」がバレる展開は必ず来ると思いますが、彼女の持つ強さは最後までずっと見ていたいです。

それと、作品にはもう一人のヒロインがいます。

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この松方さんが可愛いんです…!
この子の成長や、星野との三角関係が描かれていきそうなので先がとても楽しみです。
弓削先生も関わってきてトリプルヒロインになるのか、あくまで先生ポジションなのかも気になるところです。

あと気になると言えば、作品のタイトルです。
これもうタイトルの時点で勝っている作品だと思うんですけど、2巻で意味が判明しそうなので待ちきれません。

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comic_review_10 at 23:51|PermalinkComments(0)

2016年07月23日

藤田和日郎「双亡亭壊すべし」1巻 感想



「双亡亭 壊すべし」


週刊少年サンデーで連載中の「双亡亭壊すべし」1巻が発売されました。
奇しくも、弟子の雷句先生がマガジンで描いている「VECTOR BALL」の1巻と同時期に発売です。
当サイトの感想はコチラ

1話の載っているサンデーを購入して読んでみたところ、「月光条例」でかなり目立っていた説明セリフの多さが変わっておらず非常に不安な第1話だったのですが、藤田先生のファンなのでコミックスは買おうと決めていました。

壊れずの幽霊屋敷「双亡亭」を破壊すべく、総理と防衛大臣が立ち上がり、破壊のために国を挙げたプロジェクトが開始される。時を同じくして、絵本作家を目指す普通の青年・凧葉務と双亡亭に父を奪われた少年・緑郎の元に、緑郎の姉・紅と、数十年前の飛行機と共に現れた凧葉青一が運命に引き寄せられるように集い―という感じの1巻でした。
「双亡亭を壊す」という最終目標が物語のタイトルになっており、容易ではないぞという事が1話で描写され、過去から来た青一の謎が布石として置かれ、幽霊(と呼んでいいのでしょうか)の描写は「うしおととら」並みかそれ以上に恐怖感があり、など並べてみるとかなりのアピールポイントがありますね。

ただ、物語の進行がどこかぎこちないというか、冒頭で描いた通り説明セリフの多さが少しブレーキになっている印象が拭えません。
現時点では正直、今後に期待……くらいです。ただ、前作と違ってメインキャラが多いので、特定の1人しか活躍しないという展開には絶対ならないのは安心しています。

メインキャラが緑郎、紅、青一と色の名前を持っているのに、彼らを繋ぐキーマンになりそうなのが務(つとむ)という色要素の無い名前なのが気になります。緑郎も何らかの力に目覚めて、色の名前が付いた登場人物は超然的な力で双亡亭に立ち向かっていくことになるのでしょうか。
黄など別の色を名前に冠するキャラクターが出たら要チェックですね。

2巻では総理と防衛大臣の作戦が始動するようなので、ただの噛ませに終わらずに、最終的には総理たちが居てくれてよかったぜ!となる展開に期待します。藤田先生の描く老人は格好良くあってほしいです。

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comic_review_10 at 01:37|PermalinkComments(0)漫画感想 

2016年07月21日

雷句誠「VECTOR BALL」1巻 感想




「オレ……お前みたいな奴 助けてーんだよな」


週刊少年マガジンで連載中の「VECTOR BALL」1巻が発売されました。
1話だけアプリで読んで、それほどかな…?と思っていたのですが、書店で見かけたのと、「金色のガッシュ!!」が大好きなので思い切って買ってみました。
改めて読んだ1話がとても良かったのと、雷句先生の描く友情は良い!と改めて思えたものの、主人公の片割れが酷い性格をしているので不安もちょっとありつつの1巻でした。
でも王道少年漫画という感じで良いですね。

平和だった学園が少しずつおかしくなり、主人公・米炊おかかが、学園に現れたトカゲ男と戦う群青新太―もう一人の主人公―と出会うことで物語が始まります。
コミックスの帯には「"絆"の学園ファンタジー」と書いてあり、その通りに1巻では学校を舞台に、2人の主人公が絆を深めるように物語が展開していきます。

ベクターボールと呼ばれる謎のパズルを拾った米炊が冒頭で描かれており、同じように謎のパズルを拾って解いてしまった学園の生徒たちが「素質あり」と認められて、化け物(総称はまだ不明)に乗っ取られるのを2人の主人公が共闘して阻止する、というのが大筋になりそうです。
世界観を説明する単語は出てきているものの、米炊と新太それぞれの視点で描かれており、化け物まわりの設定は具体的に語られていないものも多いです。2巻でおおむね判明するのでしょうか。

という感じで、勢いをつけてキャラクターやバトルを描くことに集中している印象を受けました。
その結果、1巻ですでに敵を3体倒していて、4体目と戦闘継続中というスピード感が良いです。


1巻の最後の方はほぼガッシュ的な展開になっています。
というか、新太がガッシュそのものになっていました。
ハルバードが出たあたりでは、異能を得た人間の新太が使える技なのかなと思っていましたが、彼も人外のようで、加えて敵はモロに人外なので、2巻以降は人外バトルが加速しそうなのもガッシュを思い出します。
そう思って読み返してみると、人間の主人公は頭がいいけど変な奴で友達が少なくて、人外の主人公は弱いけど勇気を持っていて多分今後強くなるという図式がガッシュっぽいなと。
今でも本当に大好きな作品なので、この作品も面白くなるのでは!と期待してしまいます。

一方で、米炊が「ブスを笑う」という誰も得しない設定を持っているのが読んでいてかなりストレスだったので、何か逆転してくれる要素が出てこないと辛いです。
幼馴染をブスと呼ぶけど内心は凄いと思っていて…という1巻の描写だけでは全然カバーできてないので、2巻では謝罪の行脚でもするんでしょうか。


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comic_review_10 at 23:46|PermalinkComments(0)漫画感想