2016年08月

2016年08月20日

花侍のサハラ 第2話「世界樹の谷」 感想

「父さんの他にもいたよ……この世界を諦めていない人が」

第1話が最高に面白かった「花侍のサハラ」。
2話を読んだので電子版発売直後ですが早速感想を書いてみます。
掲載順3番目+次号センターカラーということで、GIGA1号の中でかなり良いアンケート結果だったと考えてしまうのはファン心理が過ぎるでしょうか。

1話では舞台設定を極力説明せず、絵で見せてくれたのがとても良かったのは前回の感想に書いた通りです。
しかし、やはり何回も読み返して設定も気になってきていたので、今回冒頭で説明が入ってくれたり、ヤエがサハラの「花刀」の秘密に迫ろうとするなど細かい所の描写があり、2話で世界観が深まった/今後深まるのが示唆されたのが2話の良いところの1つですね。

冒頭の料理のシーンなんかも世界観を深めてくれています。
1話で日銭を稼いで食いつないでいるサンジュウロウが描かれているので、ヤエが料理を作って彼が美味しそうに食べるという何気ない1シーンが1話から上手く繋がっています。
父を亡くしたヤエがどうやって生きてきたのか?というヒントにもなっていますし。


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なんかツボです。かわいい

荒廃した世界で希望が無く生きる人々も、そういえば1話では描かれていなかったのですね。
1話は飛行船に乗って別の場所へ移動できるくらい裕福な人達なので、今回みたいにサンジュウロウが深く関わって助ける必要がなかったわけで、設定の掘り下げに合わせて2話でこういう人たちが出てきたのが本当に上手いなと。
でもって、悪い人達ではないのでサンジュウロウ達に最初厳しく当たったところから、助けられての謝罪もスッと入ってきました。なんかもう、徹底して無駄がなくて凄いですね、サハラ。


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あと、何といっても2話も戦闘描写がいいですね!
50体以上の敵が出てきて、ヤエが絶望する一方で、サンジュウロウが希望を抱くシーンはめくりの効果と合わせて最高です。コマの大きさの強弱もあり、演出としてはこの上ないですね。
新たに登場した「花刀」の型が銃だったり槍だったりと、ハッタリが効いているのが見た目で楽しいです。
戦闘描写もそうですけど、ヤエの色んな表情や髪形のバリエーションを見ると、前作から更にパワーアップしている芝田先生の絵がやはり好きだなと思うのでした。

しかし、面白さとは裏腹に展開が早いです。今回もう最終目的地に足を踏み入れてしまいました。
連続刊行される4号で区切りがついて全1巻なんでしょうか。


芝田作品ワールドが既に完成されていて、「獣刃」が存在するかどうかで幕末から「ヨアケモノ」と「花侍のサハラ」に分岐するとか妄想してしまいます。
浅葱という新撰組の羽織の色を冠した名前の侍キャラが出たりとか、やはりどうしても「ヨアケモノ」を意識せずにはいられないのでした。
浅葱の服は函館で土方歳三が着ていた服に似ている気がしますし。

先述したように3話はセンターカラーです。
芝田先生の美麗イラストが見られることに期待しつつ、
喋る自動具足という気になる奴が出てきて引きが素晴らしいので、3話の内容にも期待しつつ、また1か月待ちます。




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comic_review_10 at 01:11|PermalinkComments(0)花侍のサハラ 

2016年08月06日

池本幹雄「BORUTO」1巻 感想






「お前が知るべきは今のナルトじゃあなく 今までのナルトなんじゃないのか」

「NARUTO」の続編で、ナルトの息子・うずまきボルトが主人公の「BORUTO」1巻が発売しました。
本編3話まで(週刊少年ジャンプで連載中ですが、月1回連載という形態で連載されており1話あたりが長い)と、連載開始前に岸本斉史先生が描いた「NARUTO」の外伝が収録されている1冊となっています。

うずまきナルトが七代目火影になり、忍界が平和になって時代が流れた。ナルトの息子で下忍のうずまきボルトは、火影として奔走する一方で父親の役割を果たさないナルトを軽蔑していた。そんな折、ボルトには中忍試験の報せが、ナルトには親友・うちはサスケの帰還によって新たな"敵"の報せが届き―という感じで物語が始まります。

1巻はボルトが中忍試験の2次試験をクリアするまでが描かれています。
「NARUTO」の続編というより、映画「BORUTO」のコミカライズという印象が強い1巻です。
映画「BORUTO」が個人的には傑作すぎた(映画館で2回、ブルーレイを買って今日まで3回見ました)のと、岸本先生の手を離れたことで別の作品を読んでいるような違和感もあります。
岸本先生が描いた外伝が載っているのも良いやら悪いやらで、いくら岸本先生から一任されたと言っても同じ本の中に本家の作画があったら比べてしまいますね……。

映画の内容をなぞって描いている現時点では読んでいてなかなか厳しいものもがあるのが本音ですが、映画では尺の都合で描かれなかった部分が既にいくつかあるので、今後もそれは期待しています。
1巻だと砂隠れのシンキが我愛羅を義父上と呼んでいて、息子じゃないと確定したのは何気に重要な情報でした。
今後の展開だと「敵に向かっていくヒナタ」はぜひ見てみたいです。
あと、72巻の後に出たサラダが主役の外伝でサスケと和解できたのに、外伝終了後~本編開始までの間(忍者学校卒業~下忍になってから今日まで)で「火影になれなかった人なんか」と言われるようになってしまったサスケの失態もぜひ知りたいです。
「うちは一族」の真実はナルト達によって、イタチの遺志を尊重する形で守られている描写が何度もされているので、サラダだけサクラに聞いたとかなんでしょうか。

それと、映画を見終わった時は、映画のBORUTO2はミツキの「新・木の葉崩し」をボルトとサラダが止める話だな!と思っていたのですが、岸本先生が描いた外伝で思い切り否定されてしまったのと、このエピソードでミツキが好きになったので印象深い外伝でした。
仙人モード、ものすごく格好良いです。

カワキという名の青年とボルトの戦いが冒頭で描かれており、映画の先の物語も描かれることは確定してるので、映画の展開を終えてからが本番だと思っていますが、このペースだと5巻くらいから完全オリジナルの展開が始まるのでしょうか。
今後に期待大です。


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