2016年12月

2016年12月26日

週刊少年ジャンプ4・5合併号感想(2017)

前回の表紙と対になる構図で各作品の主人公が描かれている今週の表紙も好きです。ジャンプの集合表紙をまとめた画集とか出ないんでしょうか。

○火ノ丸相撲

 佑真対バドの決着回。結局、佑真の強さがどれくらいなのかわからず、バドの格が落ちるばかりだなという気持ちのまま決着を迎えてしまいました。佑真はとても好きなキャラクターなので彼の描写については終始良かったんですが、団体としての鳥取白楼の格が落ちてしまったな、という感じで、これは栄華大付属の主将が「負ける気がしない」というのも納得です。
 佑真側の描写は本当に良くて、潮の檄が稽古中のものと重なって堪えることができた、というのが凄く好きです。「火ノ丸相撲」の凄い所は、この「立てぃユーマ!!」と言った潮が「ちゃんと過去に描かれている」ことだと思います。実は稽古中にこんなことがありました、と回想に入るのではなく実際に描いたコマを拾ってくる、という丁寧さには参ります。
 そして、自分ではなく仲間を信じて実力を出し切れる男だった、と。熱いです。その流れのまま佑真が横綱候補に勝ってしまったわけですが、これは「力士としての突き」と「空手家としての突き」が混在していて、突き技で対抗しようとしていたバドが対応しようとした時には既に遅かったということなのかな。空手の技という異能を極めたからこそ、純粋に相撲だけをとってきた力士とも渡り合える、というのは特訓前に言われていたことですし。
 次号からはいよいよ潮と天王寺の再戦です。間違いなく作中最高の試合だと始まる前からわかるので期待しかありません。


○読切:Canvas

 仲間りょう先生の底力を見た感じです。とにかく凄いです。ジャンプのギャグ漫画家だと、うすた先生に並ぶ逸材なのでは…とやっと気づきました。ギャグ漫画ってツッコミが無くても面白く描けるんだな、というのを初めて思い知らされました。磯兵衛のコミックスを全部揃えたくなったくらいです。もし磯兵衛のコミックスにこれが収録されるなら既刊も含めて買わないといけないですね。
 恋愛漫画として読んでも意外とストーリーがちゃんとしていましたし。いや、絵柄と切り分けて考えたらそうでもないのかもしれませんけど、切り分けて考えられないので面白いかどうか聞かれたら面白かったとしか言いようがないです。「絵」が面白いって、ギャグ漫画として完成されすぎているのでは。
 前号からの予告、ツイッターでの仲間先生自身の宣伝など、徹底して「恋愛漫画です」と言い通しているのも凄いです。制作側が誰一人ツッコまないので、ここが面白かったと書くのも野暮ですね(ただしツッコミだしたらキリがない)。今週ナンバーワンだったのではないでしょうか…!
 しかし、他の2本の読み切りはコテコテのラブコメとツッコミだらけのギャグなんて悪夢ですね…。


○鬼滅の刃

 死を迎えた累が過去を思い出し、それがじっくりと描かれた回でした。
「結局俺が一番強いから誰も俺を守れない庇えない」という独白が悲しいです。病弱だった人間の心のまま急に強くなってしまって、鬼としての強さと心がかけ離れて行っただけでなく、鬼として生きる時間がそれすら忘れてしまった、というのが短い描写で伝わってくるので、最後に父と母の元へ行けたというありがちな描写も胸にスッと入って来ました。一人称が「俺」から「僕」に自然に切り替わるのも巧みだなと思うのでした。
 この回想を踏まえたうえで、死にゆく鬼を踏みにじる義勇とそれを許さない炭治郎の対比が映えます。炭治郎は「鬼になってしまった」禰豆子を見ているから、相手が十二鬼月であっても、望んで鬼になったわけではないと知れば思いやることができるという。炭治郎について考えると「優しい」が前面に出てくるのが好きです。でも炭治郎は戦えるし、頸を斬ることは鬼殺隊となった自分の役割なんだ、と自覚しているのもすごく好きです。
 そして、まさかの…とは言えないですね。やはり鬼と仲良くする気など無かったしのぶの急襲で次号に続く、と。柱同士の戦いになるのか、誰かが介入して戦闘終了となるのか読めないので楽しみです。
 
 回想で気になったのは、無惨は「人間の中から1人を鬼にして、後はその鬼に残った人間の生殺与奪を任せる」ような習性があるのかも?というところです(累を鬼に変えた所を両親が見ている)。
炭治郎の耳飾り(無惨と因縁がある火神楽の系譜)を初めて見たような素振りといい、竈門家を狙ってきたわけではないと思うので、禰豆子を鬼に変えたのは本当に無惨だったのか?という疑問を抱いているのがより濃くなった回でした。炭治郎の母親が鬼で、無惨の怒りに触れて皆殺しにされた、というのも考えられなくはないですが。
そうなると「俺と同じ人間だった」という炭治郎の今回の言葉や義勇の「お前は…」の意味が…と考えだすと嫌になるのでこの辺でやめておきます。


○BORUTO

 ここに来て映画に無かった戦闘描写が激増しているので楽しくなってきました。黒ツチが頭をぶつけて気絶しないで頑張っていたのがよかったです(けっきょくワンパンで気絶しましたが)。
 あと、映画で大迫力だった怪獣決戦がめちゃくちゃ良いのも興奮しました。短いながらも迫力のあるコマが多くて、池本先生は岸本先生が推すだけあるな!と思わされました。
 本編は完全オリジナル展開を目前に面白くなってきて続きがとても楽しみですが、アニメは不安が大きいです。原作のストックがまだ無い、というのと、映画版がやはり最高だったのでアニメ版はハードルが高すぎて…とか言いつつ、OP映像を見たら手のひらを返しそうです(最近のNARUTOアニメのOPは見ているだけで泣けてくるので)。


【一行感想】
・ONE PIECE:プリンちゃんに悪い意味で裏切られました。でもサンジが戻ってくる道は出来たのかな…。
・ハイキュー:今まで全く思ったこと無かったのに、影山が「SLAM DUNK」の流川っぽく見えました。電子版なので影山のスゴい動きが1枚絵で見られなくて残念。コミックスで読むのを楽しみに待ちます。
・左門くん:サブタイトルの回収がわかりやすすぎて笑いました。何回見ても笑える。
・アマルガム:展開が早すぎて辛い…。大増ページで終了ではなく、一定の人気があることを祈ります…。
・ナンバーワン:主人公たちの周りだけで話が進み過ぎているのが良くないのかな、と思ってしまった回でした。好きなんですがこれは続かない感が…。
・磯兵衛:こっちでは普通にギャグ漫画やってて混乱します。

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comic_review_10 at 21:35|PermalinkComments(0)ジャンプ感想 

2016年12月12日

週刊少年ジャンプ2・3合併号感想(2017)

各作品の主人公もしくはヒロインがワンピースの格好をしている表紙、いいですねこれ。

○鬼滅の刃

 義勇が独占するセンターカラーの表紙で登場。
この前の炭治郎と禰豆子の覚醒回もそうだったように、センターカラーに合わせたかのように山場を持ってくる吾峠先生の構成力に唸った回でした。まだ42話というのも驚きですが、物語の密度がこれまでの42話の中で一番濃かったように思います。

 炭治郎と禰豆子の覚醒によって累へ必殺の一撃を放ったように見えたものの、実は累が寸前で自分の頸を糸で切断していた、ということで形成は逆転します。覚醒して即勝つ方が気持ちいいんですけど、「十二鬼月」の名が示す通り暫定で12体しかいない大ボスの一角ですから、ここであっさりと勝ちきるよりはよかったのかもしれません。何より、累があのまま斬られていると今週ラストの炭治郎が禰豆子を庇う画が見られなかったので自分の中では納得しました。
 というわけで、累を斬ることになったのは炭治郎の人生に大きな転機をもたらした冨岡義勇でした。ここの再会がまた良いですね。「善逸か?」で炭治郎が仲間に信頼を寄せていることを描いてからの、「声」で義勇に気付いて、生気を失った目が大きく見開かれるという。とても好きなシーンになりました。
 ここからも凄いですね。「拾壱ノ型」が出てきて、ファンにとっては「水の呼吸って拾の型までだよね?」と思わせてからの必殺の一撃でバッサリです。その後に「水の呼吸は拾の型までしかない」と解説を入れることで最近読み始めた人にとっても必殺の一撃だったとわかる、という。この構成ですよ。
 まだまだ終わらなくて、この拾壱ノ型の登場によって「義勇が柱を務めている理由」「炭治郎にとっての水の呼吸の限界」がわかり、先々週に描かれた「火神楽の呼吸(?)という可能性」が先の展開を示してくれるという。
 そして、このまま死を迎えるだけだった累が、炭治郎が禰豆子を庇う姿を見て昔を思い出す、と。何でしょうこの完成度。
 素晴らしい回を何のネタバレもなくリアルタイムで読めた事にただただ感謝です。先週は「火ノ丸相撲」が総合No1だと言いましたが、今週で逆転しました。


○火ノ丸相撲

 相性で有利なのか、自称・加納よりも強いバドが佑真にあっさり勝てません。いや、あっさり勝たれたら潮の出番が無くなって困るのでいいんですが、佑真の強さってはっきりわからないんですよね。作中トップクラスということは絶対になくて、今の団体戦を戦っている10人の中で蛍に次いでブービーだと思うんです。先週書いたように、勝ち方に拘るバド相手だから善戦できている、くらいの見方でいいんでしょうか。
 さて、試合では蛍同様に「切り札」を切って一気に価値にいく佑真と、レイナの応援が心地良くて最終ページでは泣きそうになりながら読んでいました(何ださっきの文句は)。それに、空手の『型』をやっていたシーンも確かにあったな…!と驚かされつつ、レイナと天王寺妹・バドのシーンも布石だったか!というのも驚きでした。勝負は熱いのに、小回りが利く作品で本当に凄いです。バドの日本人力士ファンに対する視点も納得しかなかったですし、お互いの心理描写は終わってあとは決着を待つのみ、というところで2週待たされる苦しみ。川田先生に弟子入りして結果を見に行きたいです。
 しかしまた不吉な引きです。あっさり勝つならここで勝っていたはずなので。ここで負けるのもあり得るのが火ノ丸相撲……。


○歪のアマルガム

 万人におすすめできる面白さにはまだないと思いますが、「好き」ですね。今週読んで確信しました。この作品に対する今の感情は「好き」です。
 黒水くんの成長回でありながら、棒切れで戦っていたり(六道の骨でした。格好良い)、やけにスタイリッシュな攻撃ポーズ、「卵ってよ」のくだりなど、微妙に外している感があるものの、「それが黒水(オレ)だ!」までのくだりと、自分の刀と六道の骨の二刀流を構えたコマは最高ですね。
ただ、まだキャラが固まっていない時期に成長描写をしてしまっているのは、(掲載順が関係していそうではありますが)勿体ないです。もっと後で見たかったシーンですね。
 火ノ丸相撲にも負けず劣らずの不吉な引きで次号へ。パワーアップだといいのですが。


【一行感想】

・ハイキュー:影山が立ち上がるまでは仲間が支える熱い展開。山口が格好良いです。忠って分解すると中心だから、日向が3年の時のキャプテンは山口だと思っています。
・ヘディス:本編はあんまり面白くなかったんですが、巻末コメントが最高でした。新テニスをまとめ買いしたくなりました。
・デモンズプラン:先週からほぼ進んでいない…。今週で一気に不安になりました。
・ナンバーワン:今週めっちゃ良いですね。「とれた…」から全部面白すぎました。コミックス買います。

「BLEACH」小説版の表紙が公開されました。
ルキアを美しいと思ったのは初めてかもしれません。卍解の時に何て思ったか記憶に無いのが悔しい。


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comic_review_10 at 22:32|PermalinkComments(0)ジャンプ感想 

2016年12月05日

週刊少年ジャンプ1号感想(2017)

○鬼滅の刃

 「ワールドトリガー」が休載中の今、バトル漫画では連載陣の中で一番好きです。
累たちとの戦いに入ってからは面白さの底が見えないくらい毎週面白くなり続けている印象で、善逸の独白がコミックス購入の決め手でした。そこからはもうハマって毎週楽しみで仕方がないです。
今週はまた違った角度から作品の世界観が掘り下げられて最高でした。
「柱」の一人、胡蝶しのぶの初戦闘がじっくり描かれる一方で、心理描写は敵のものに終始して、しのぶの本音はわからないまま圧倒的な力と敵を見透かす目で完封するという、今後の展開を踏まえつつ強者を描ききっているすごい回です。

 しのぶは明らかに炭治郎とは特に相容れない性格をしているので、こう集中して描かれると強さだけでなく、彼女の鬼殺隊としての立ち位置も際立ちますね。
(鬼と仲良くしようとか言っていますが、明らかに今までの鬼殺隊の中では一番狂人)
蝶の羽を模した羽織が技の時に完全に蝶のシルエットになる演出や、日輪刀の特殊な形など見た目が個性的で、それだけで強いことがわかるのも良いんですが、性格を見ても強いですね。「柱の中では唯一鬼の頸を切れない」ことと「強い」ことを「でも」で結びつけられるという。

 さて、これで各局面が決着したでしょうか。
炭治郎と禰豆子を見た義勇が何と言うか、そもそも再会できるのか、など戦闘が終わっても次が楽しみです。


○火ノ丸相撲

 鬼滅の刃が現行のジャンプでバトル漫画ナンバーワンなら、火ノ丸相撲がスポーツ漫画ナンバーワン兼総合ナンバーワンです。
(「青春兵器ナンバーワン」は、前作「焼野原塵」が大好きだったので応援しているんですが今のままではかなり厳しいと思います。)

 チヒロが国宝の加納に勝利を納めたものの、ダチ校は王手をかけられており佑真は絶対に負けられないわけですが、モンゴル人のバドはどうやら鳥取白楼の実質ナンバーツーのようです。佑真が勝つビジョンが全く見えないんですが、今週ちょっと気になったのがバドの姿勢(作中で言う「心」)です。
 バドは自分が身を置いている高校相撲の土俵を「就職活動」「(角界入りするために)名を上げる場所」としています。しかも佑真の得意な「突き」で勝とうとまでしている。これは今までの強者に比べると相手を舐めすぎているというか、明らかに格が一段階落ちるな……と思ってしまいます。
 蛍と取り組みをした首藤くんの時もそうでしたが、ここにきて魅力の足りない敵が出てきてダチ高が何とか勝負になる、というのがちょっと目立ってきたような気がしないでもない。


○歪のアマルガム

 先週の会敵までの描写と見開きにやられたので、コミックス購入が濃厚になっています。今週も面白いです。
 課長さんの戦闘描写すごく好きです。絵だけで「見切り」が得意なんだなとわかる戦い方で、攻撃はほとんどしていないのに強いのがわかるという。鬼滅の刃といい、強者の描き方が巧いとテンションが上がります。
 そして、その「見切り」が得意な課長の右目に切り傷があるというキャラデザインが最高ですね。右目が開いて本気を出すのでも、宿敵に斬られて目が開かないのでも、どっちでも最高です。

 分かれて戦うことになった敵の弱そうな方が強かった、というのは先週から引き続いてちょっとクドいかなと思ってしまいました。が、ラストページの引きが最高に熱いです。影舟くんがこのまま勝ってくれる展開が見たいです。


【一行感想】

・ヒロアカ:仮免編以降どうも乗れず…。かっちゃんと強くなるのを誓い合う展開になるのか?
・ハイキュー:影山の不調が最初に来るのは「これはもう勝ったな」感がすごい。
・ネバーランド:ドンの叫びが良かったけど、かえって死亡フラグが立ってしまったような……。
・デモンズプラン:3話でまたしてもモブと交流…と思わされてからの即ボス戦、いいですね!
・ナンバーワン:ロンシアじゃないか!ヒロイン増えるのもいいんですが、ゴルゴンさん待望論が私の中で出ています。
・左門くん:人気投票の結果を踏まえて描かれた回なのに誰も得していないのがつらい。
・磯兵衛:「本焼いてみてぇ」で笑いました。オチも2段仕込みなのが好きです。

【余談】
増刊GIGAで連載していた「花侍のサハラ」と「ぎなた式」おすすめです。

「花侍のサハラ」試し読み

「ぎなた式」試し読み

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