2017年01月

2017年01月15日

「永遠の一手」下巻 感想




「あなたはロボットじゃない。だから私は全力で戦える」

2030年、1本のコンピューター将棋ソフト「彗星」が将棋界を変えて10年が経った。 
プロ棋士は将棋ソフトと契約し、強いソフトが強い棋士を生む中、名人戦を4連覇した増山だけが人間の力のみで戦い続けていた。 
いよいよ永世名人に王手をかけた増山の前に、「彗星」に敗北し将棋界を去った羽内が現れ――。

上巻は増山が名人になるまでと、羽内の復活の予兆が描かれました。 
下巻は増山と羽内の対局が進行しながら、羽内がどうやって復活したのか、増山がなぜ名人になれたのかを、増山の父=「彗星」の開発者にスポットを当てて描かれるところから始まります。
すごく壮大な話として始まったんですが、二人を繋ぐ人間が現れたことで1つの戦いに集束していく構図が面白いです。
前半(上巻)は増山の熱さや世界観の面白さが作品を引っ張っていたように思うんですが、後半(下巻)になって増山の父が作品に本格的に絡んできて作風がガラっと変わった印象を受けました。

プロになった羽内少年に憧れた増山少年が、
十年後にプロとして対局ができたものの敗北をして、
最強の人間でありながらPCソフトに負けて将棋界を去った羽内名人を待つかのように、増山が人間の将棋を10年間守り続け、
最後は羽内が増山名人に挑む、という流れは凄いですね。
PCソフトに負けた羽内が弱かったわけでも、勝ち続けた増山が強かったわけでもなく、2人が最高の勝負をするために20年が必要だった、と考えると、何かこう…良いです。
そして、その流れを作ってくれたのが増山の父と娘だった、というのは出来過ぎていますが、運命的な要素が強くなるポイントになっているので、凄いなあと思って読んでいました。
ここが上巻で面白い、と言っていたところです。何となくですけど、もし増山一族と羽内が関わっていなかったら別の所で潰れてしまっていて、最終話のラストページのような希望的な終わり方にはならなかったのかな、と思うくらいでした。
そして、そんな2人の戦いが運命的な一局だとわかるからこそ、翔子ちゃんが「とんでもないことをしている」と泣いてしまう気持ちが伝わってきます。
「コンピューター将棋に挑む」のは増山だけでも羽内だけでもなくて、2人の生身の対局=人間の対局だった、という副題の引っかけ(?)も良いです。

1つ残念な点を挙げるとしたら、番外編はちょっとよくわからなかったので、普通に将棋の話が読みたかったです。
もしかしたら、次回作の展開も考えて描いたのかもしれませんが。

最後に、タイトルの「永遠の一手」について解釈を述べて終わります。
増山の「飛車のただ捨て」が「永遠の一手」だと思いました。
彼は羽内と再戦することを信じて、敗北の棋譜を並べて勝てる筋を探していたわけではなかったでしょう。
でも、彼は毎日並べ続けました。十年越しの再戦が無ければ、永世名人になっても毎日並べ続けたでしょう。羽内が復帰しなければ、それこそ増山は死ぬまで毎日並べ続けて、考え続けた「永遠の一手」になったのではないかなと。

そうならならずに指すことができた一手が「永遠の一手」だったというのは、遠回りな解釈すぎて全然自信がないので、他の方の感想を読んだり、また読み返すなどして深めてみたいです。


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comic_review_10 at 21:53|PermalinkComments(0)漫画感想 

「永遠の一手」上巻 感想



「ああ。コンピューターはダメです。将棋は人と人とが知恵を絞りあって……」

2020年、将棋の名人位を持つ羽内が将棋のコンピューターソフト「彗星」に負けてしまう。
羽内名人は将棋界を去り、「彗星」の勝利は将棋界を変えてしまった。プロ棋士にもPCソフトの援助が不可欠になったのだ。しかし、ただ一人、増山(表紙の若者)だけはPCソフトを前にすると吐き気に襲われて使えなかった。彼は人間の力のみで混沌と化した将棋界に挑み、ついには名人に――というような導入です。

増山が名人になった先の話が本番なので、これくらいまではあらすじとして紹介してしまうのを許してください。
PCソフトが人間を完全に超えてしまったら?という設定が面白いですね。
現実の囲碁界がまさに今同じようなことになっているみたいですし、将棋は素人なので「こういう事もあるんじゃないかな」と思えて導入からスッと入ってきました。

3話までは増山が人間の気力(棋力と掛けている)だけで勝ち上がっていく様子が描かれますが、4話からもう1人の上巻の主人公とでも言うべき天才少女の翔子が登場して、再びコンピューターの強さが掘り下げられます。
この翔子ちゃんは中学生でありながら、羽内名人を引退させた「彗星」のメーカーと組むことになり、因縁の相手である増山との対局を望むという変わった子です。
なぜ増山が因縁の相手なのか、将棋ソフトの開発が得意なのか、という理由と人間関係が面白いです。
何が面白かったかは下巻の感想でちゃんと書きます。

余談ですが、インターネットで断片的に得た情報から勝手に想像していた中身と違ったのも面白かったです。
あと、上下巻完結の短期連載だから若手の作者さんなのかなと思っていたらベテランの方で、画力が安定しているのも意外で、翔子ちゃんなんかは全コマ可愛くて驚きました。
でも私はお母さんが好きです。外伝で増山との出会いが読みたいです。

物語も感想も下巻に続きます。 

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comic_review_10 at 16:08|PermalinkComments(0)漫画感想 

2017年01月12日

「弱虫ペダル」48巻 感想




「1人の男を泣かせる走りは全力以外何物でもないよ」

「弱虫ペダル」48巻の感想です。
インターハイ2日目のゴールスプリントから決着がつくまで収録されています。

47巻で新開悠人が好きになったので、ハコガク頑張れ!という気持ちで読んでいました。
今年のハコガクは全員好きなので、坂道達には悪いですが、悠人を応援しました。
兄・新開隼人との回想が描かれ、「直線鬼」として覚醒する一連の描写は熱いですね。
しかし、スプリンターに転向するにしろ、クライマーのままでいるにしろ、来年は手が付けられないエースに育っていそうで恐ろしいです。

悠人頑張れ!と思っていたものの、杉元が出てきてからは総北を応援せざるを得ません。
2年生になってからの今泉と杉元の関係が好きすぎるので、今回も泣きそうになりながら読んでいました。レース後、杉元がフォローしてくれていたシーンは48巻でベストでした。3年生では杉元に絶対にレギュラーになってほしいです。

しかし、私の応援虚しく、御堂筋が昨年の敗北を乗り越えて2日目首位でゴール、と。
御堂筋の回想が前回リタイヤする直前のものと似ていたので、それを超えて勝つのは意外でもあり、熱い展開でした。
レース後の表彰台でのインタビューも好きです。御堂筋ならではの煽り方というよりは、やっと勝ったことで自論を周りに披露できて嬉しいというようにも見えて、嫌いになれない奴です。
ただ、坂道3年編では総北の優勝が決まっているでしょうし、王者・箱根学園が一度も優勝しないのはあまり考えられないので、今回優勝するのは箱根学園だと確信しています。
御堂筋の見せ場はここで終わりかな…とも思ってしまいました。
水田くんも活躍できてよかったです。

3日スタート前に3年生スプリンターに不調の兆し、と何処かで見たような引きで次巻に続きます。
私も手嶋と青八木の同調直列走法が見たいぞ。

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comic_review_10 at 01:09|PermalinkComments(0)漫画感想 

2017年01月09日

週刊少年ジャンプ6号感想(2017)

新年1号目かつ合併号の後で2週が空いたので楽しみにしていたんですが、あまり満足度が高くない1冊で残念でした。やはりワールドトリガーの休載が痛いです。

新年早々パソコンが壊れました。
スマホにBluetoothのキーボードを ペアリングしてブログを更新していきますが、不慣れなので感想が短くなったらすみません。

◯鬼滅の刃

目を覚ました善逸の前には最終選抜をクリアした新人女性隊士が現れました。
2巻で一瞬だけ登場していて、そこで 蝶と一緒に映っているので、しのぶの下で修行していたのでしょう。
 石頭の炭治郎を足技で気絶させたり、強襲も足によるものなので、蹴り技主体の戦闘スタイルなのでしょうか。日輪刀とどう組み合わせるのか、彼女も毒使いなのか今後の戦闘シーンが楽しみになりました。

さて、今週一気に好感度が上がったのは義勇さんです。
俺は嫌われてない、と気にしているのが可愛らしいし、いい感じにズレていて好きです。

累との戦いが終わり、柱が一斉に登場して新展開突入というところで次号は表紙と巻頭カラーですか。やはり構成力が高い作品だなと思わされました。
新キャラの柱の皆さんは見た目だけだとすぐ死にそうですが、この作品は内面の描写を見てみんな好きになるので、ゆくゆくは全員好きになりそうです。



◯火ノ丸相撲

女性記者さんによるフォローのおかげでバドと悠真の力関係については少し納得がいったものの、団体としての鳥取白楼の弱さが目立つ団体戦だなと思わずにはいられません。ただ、もうちょっと踏み込んで調べて、高校の相撲部からその後どれくらい進学して続けるのか、とか、新弟子の数とかを調べてみると読み方が変わってくるのかも、とも思いました。

天王寺が復活していたことがわかり、いよいよ次号からは大将戦です。
この後の草薙戦があるので、潮が勝つのはわかっていますが作中最高の取り組みになるのはわかりきっているので楽しみです。
しかし、潮が故障しないで勝つ姿だったり、負けたあとの天王寺がどうなってしまうかなども心配なので安心して読める気がしないのは恐ろしいです。



一行感想
・ブラッククローバー:マルスくん、もともとこういう風になる予定で出していたのかもしれないですが、めっちゃ豹変していて笑いました。あと殺してしまったはずの子も生き返っててパワーのある作品だなと改めて思いました。
・デモンズプラン:味方になってくれる仲間キャラの出し方が雑すぎやしませんか…。1話が良かっただけに悲しい。
・歪のアマルガム:大増ページなので掲載位置も期待していましたが、内容を見てもこれは終わりそうな感じが漂っていて辛いです。大増ページがもらえたのは2作品が休載しているから、という理由だったら嫌ですね。



 

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comic_review_10 at 15:26|PermalinkComments(0)ジャンプ感想