鬼滅の刃

2018年03月11日

「鬼滅の刃」禰豆子について考えてみる






「鬼滅の刃」10巻が発売しました。
10巻には遊郭編の中盤戦まで収録されています。
正直なことを言うと、この遊郭編の戦闘が長すぎて脱落しかけたのですが、その先が面白すぎたので引き続きコミックスを購入しています。
というのも、この作品は謎が多く、戦闘よりもストーリーが進む回が好きだからです。

まだ10巻なので、物語の核心に迫っていくのはまだ先かもしれませんが、気になる要素が多いのと、情報の小出しが上手すぎて、ストーリーが進むたびに考えずにはいられません。

日の呼吸(ヒノカミ神楽)や他の呼吸≒鬼殺隊の歴史や、鬼舞辻無惨についても考えることが多くて気になりますが、今回は禰豆子について考えてみました。


〇鬼としての禰豆子

基本情報の確認です。

無題 無題3
町で評判の美人(炭治郎 談)だったが鬼へ……

・竈門家が鬼舞辻に襲われた際、鬼になってしまった
人の血肉を必要としない〔普通の鬼と真逆の要素〕
・眠ることで回復をしている(鱗滝の推測)
・鬼化して鱗滝に出会って後、2年間眠っていた
・鱗滝から”人を傷つける鬼を許すな”と暗示をかけられている
・身体が子供になったり大人になったりする
・鬼舞辻の"呪い"を自力で外している(後述)

もう一つ、人語を話すことができないのも特徴でしょうか。
この点については、鬼舞辻が鬼に変えた男性(13話、14話)も同様だったので、人間を喰うことで強くなるのと同様、知性も高まっていくのかもしれません。

鬼が敵である作品でありながら、人を守る鬼としてもう一人の主人公のような立ち位置にいるのが禰豆子です。


〇禰豆子の強さ

戦闘シーンを見返してみました

・最初に遭遇した鬼(最低3人を喰らっている)の首から上を蹴り飛ばして切断
・「冷静になれ俺よ」の異能の鬼(女性をたくさん喰らっている)から見て強い
・朱紗丸(鞠の鬼)の攻撃で足がもげる → 戦闘中に同じ攻撃を「蹴り返す」ように
・累(下弦の伍)との戦闘で鬼血術"爆血"に目覚める
・珠世から見て「回復が遅い」 → 再生速度がすごい:10巻時点では上弦に匹敵

片手で数えられるほどしか戦っていないのに強くなりすぎです。
主人公の炭治郎が修行しているシーンがやたら多いのと対照的で、眠っている時間の分だけ強くなっているとしか思えないのですが……。
(死者から語りかけられるシーンが多いので無いとも言い切れない)

堕姫との戦いでは、怒りによって今までで一番鬼らしい姿に変貌してしまいます。

IMG_6243

外見の年齢が今までで一番高いことも考えるポイントになりそうですが、ここで気になるのは身体に浮かび上がった葉の紋様です。
作中で出てきた単語から植物を連想すると
・葵枝(母親)の名前に含まれる
・鬼舞辻が探している青い彼岸花
・鬼殺隊が結界などに用いている藤の花
このあたりが候補かなと思って画像検索をしたところ、藤の花が一番近いかなと思ったのですが……

無題2

吾峠先生の描く藤の花と葉とは違うような気が……。
もうちょっと考えたいんですが、紋様については保留にして次の話をします。


〇鬼舞辻と禰豆子

鬼舞辻によって生み出された鬼は、逃れられない"呪い"にかかっています。
箇条書きすると

・体内に残留する鬼舞辻の細胞に肉体を破壊される
・鬼舞辻の名前を呼ぶと殺される
・場所を把握される
・姿が見える距離なら全ての思考を読まれる

判明しているのは以上です。
ただ、何らかの手段で外せる=解除できることが"呪い"の大きな特徴です。
珠世は「私の体を随分弄っていますから鬼舞辻の呪いも外しています」と言っています。
また、作者のモノローグによって、禰豆子も自力で"呪い"外していることが判明しています(6巻52話)。

鬼舞辻が禰豆子に言及したのは今のところ、堕姫(上弦の陸)と会話をした時のみです。
「私の支配から逃れた鬼がいる」と(10巻83話)。

あと、重要なポイントとして13話(2巻)で炭治郎に捕捉された際に、鬼舞辻は他ならぬ自身が禰豆子とニアミスしています
しかし、炭治郎が鬼舞辻の匂いを感知できるくらいの距離なのに、鬼舞辻は禰豆子に気づいていません。また、この時点で炭治郎を殺すよう命じたものの禰豆子には全く言及していません。
禰豆子が寝ている2年間の間に"呪い"を外したということなんでしょうか。


〇炭治郎・禰豆子の母親は鬼?

10巻で疑惑の回想シーンが登場しました。

幼い禰豆子が母親(葵枝)にこう問います。
「お兄ちゃんのお目々が赤いのは おなかの中にいた時に おかあさんが赤い木の実を食べたから?」

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あやしい……!

先ほど、禰豆子に浮かんだ葉の紋様について途中で話を切ったのはこのためです。
個人的な予想としては、禰豆子に浮かんだ葉の紋様は「赤い実の葉」なのでは?ということでした。
植物に詳しい人は、この実では?という予想まで出来そうで、知識不足が悔しいです。
ちなみに、軽く調べたところ「鬼縛り」という名前の植物が赤い実を付けるそうですが関係あるのでしょうか。

葵枝が鬼なのか?と疑ってしまうシーンは、読み返したところ、もう1か所ありました。

IMG_E6140

12話(2巻)で「冷静になれ俺よ」の鬼が「分けられた血の量が多い」と推測していました。
一方、14話(2巻)で鬼舞辻が人間の女性に血を分け与えた際、鬼にはならずに死んでしまいました。
その時、鬼舞辻は「私の血を大量に与え続けるとどうなると思う?人間の身体は変貌の速度に耐えきれず細胞が壊れる」と言いました。
そもそも、鬼舞辻の血を分け与えられるには、彼自身に認められないといけないはずです。
鬼になりたての禰豆子が、何の理由もなく鬼舞辻に大量の血を分けられたとは考えられません。

禰豆子を鬼にしたのは誰なのか……?と考えてしまいます。

あと、細かい点として葵枝が亡くなっている所だけ着物がいつも違うのも何だか気になってしまいました。寝間着?


〇竈門家を襲った鬼は本当に鬼舞辻なのか?

まとめです。
色々書いてきましたが、自分が一番気になっているのは1話の真相です。
鬼舞辻が竈門家を襲ったならそう描けばいいのに、まだ確定情報が出ないのがどうも気になります。

11話(2巻)で鱗滝が炭治郎に語ったのは「人間を鬼に変えられる血を持つ鬼はこの世にただ一体のみ」ということであり、鬼舞辻無惨が竈門家を襲った鬼だと断言しました。
……が、物語が進むにつれて状況が徐々に変わってきたように思います。
というか、読み返していて思ったのですが鱗滝さんの情報が古いというか、意図的に誤って伝えているのではと疑いたくなってしまいました。
仮面の下に目が6個あったらどうしよう

話を戻します。
鬼の増やし方は鬼舞辻が生み出す以外に、作中で確定した描写が1つ、疑わしい描写が1つあります。
【確定】珠世の研究によって鬼となった愈史郎
【疑惑】上弦は自分の血によって鬼を増やせる?
 → 63話、64話(8巻)の猗窩座の発言と、11巻以降でも別の登場人物による言及あり

組織のトップとしては最低ですが、ボスとしてはかなり魅力がある鬼舞辻無惨が、竈門家襲撃に関わっているとしたら不手際が多すぎると思うんですよね。
誰か別の鬼が犯人なのでは、と思わずにはいられないのでした。

最後に。

IMG_E6218

82話(10巻)での1話の回想、禰豆子の視点だったら嫌ですね……。
(1話で炭治郎が「口や手に血はついていなかった」とは言っていますが。

長く書いたわりに全然まとまらなかったんですが、20巻くらいまで出た時に自分で読み返して何か思うところがあったらいいかなと。
最後まで読んでくださった方はありがとうございます。





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2017年03月08日

「鬼滅の刃」 表紙の法則性を考えてみる



6巻以降の内容を少し含みます。ご注意ください

「鬼滅の刃」5巻が発売しました。
表紙を飾るのは、主人公・炭治郎の運命を大きく変えた鬼殺隊の剣士・冨岡義勇です。
これまでの4冊には必ず炭治郎がいたので、主人公を差し置いての単独表紙がかなり意外でした。
何でかというと、炭治郎も今までは4巻に負けないくらい活躍してるんですよね。
ヒノカミ神楽の呼吸によって「十二鬼月」の一角を担う鬼・累を追い詰めたくらいです。

一方、表紙を飾った義勇は「柱」と呼ばれる特別な剣士であることが判明し、
伊之助が手も足も出なかった巨躯の鬼と、炭治郎が覚醒しても倒せなかった累を瞬殺しました。
1話で出てきた義勇の再登場が最高の形であったのは言うまでもないんですが、
それでもやはり単独で表紙を飾るほどか!?炭治郎も頑張ったじゃないか!
もしくは同じ柱の胡蝶しのぶと2人の表紙でもよかったのでは?などと思いながら既刊の表紙も眺めていると、法則性に気付きました。




1巻は炭治郎と禰豆子です。



2巻は炭治郎と、ラスボスの鬼舞辻無惨です。



3巻は炭治郎と、同時期に鬼殺隊に新たに入隊した剣士・吾妻善逸です。



 4巻は炭治郎と、これまた同じく同期の鬼殺隊剣士・嘴平伊之助です。

 見てわかる通り「炭治郎ともう1名」の2人が表紙を飾っています。
が、もうちょっと深読みすると、「炭治郎ともう1人の関係性がわかる表紙」なのでは!?と思い至るようになりました。 
再度、表紙画像を貼っていきます。
(アマゾンリンクを何回も貼って申し訳ありません。当サイトはアフィリエイトを全くやっていませんので、ご了承ください。)






「鬼滅の刃」は、炭治郎の家族が鬼(鬼舞辻無惨)によって惨殺されるところから物語が始まります。その中で唯一生き残った妹の禰豆子は鬼と化してしまい、妹の手で炭治郎は命を落としかけますが、冨岡義勇との出会いによって兄妹の運命は死から救われることになります。
鬼殺隊の剣士になる決意をした炭治郎は、禰豆子を人間に戻す方法を探しながら鬼との戦いに身を投じていくことになり--
ということで、「禰豆子を守りながら戦う炭治郎の図」です。
が、1話の内容を踏まえると「鬼と化した禰豆子が人間(炭治郎)を襲う図」にも見えないでしょうか。

2巻以降も炭治郎の視点と、もう1人の視点の両方がわかる凄い表紙になっているので見ていきましょう。



2巻で炭治郎は早くも、自分の家族を殺した鬼舞辻無惨と直接対峙することになります。
鬼舞辻にとっては炭治郎は、ただの新人の鬼殺隊の剣士くらいのものかなと思いきや、どうやらそうではないようです。炭治郎の耳飾りを見て、命の危機を感じた過去を思い出したような描写があります。
また、6巻以降で判明しますが、鬼殺隊の中でも最強とされる「柱」の面々ですら鬼舞辻に遭遇した者はいないのです。
2巻は、炭治郎が鬼舞辻を絶対に斬るという意思と、
鬼舞辻の視点では、自分をかつて追い詰めた日輪の耳飾りの剣士が迫っていることが伝わる構図になっているのではないでしょうか。



3巻で炭治郎は共に入隊試験を突破した善逸と遭遇をし、共に鬼と戦うことになります。
善逸は戦いをとにかく避けようとしたり、初対面では炭治郎から軽蔑されたりもしますが、禰豆子(の入った箱)を命がけで守ったり、本当は強いことが炭治郎には伝わっていたり、と出会ったばかりでも信頼関係が生まれています。
3巻の表紙は炭治郎から善逸への信頼(振り返ると居てくれる)と、自分に自信が無い善逸にとっては「少し前を歩いている炭治郎」という関係性が伝わる構図なのかな、と思いました。



4巻では、3巻で鬼との戦いに乱入するように登場した伊之助が、炭治郎の性格のせいもあってか半ば強制的に仲間になります。しかし、善逸をボコボコにしたり、炭治郎とも戦ったりと、決して良い登場の仕方ではありませんでした。そんな伊之助なので、こんな表紙になっています(雑)。
炭治郎、善逸、伊之助は同期ですが、3巻の表紙とはまた違った同期の関係性がわかるのが4巻なのかなと思います。細かい所だと、伊之助は手を出している(襟を掴んでいる)のに、炭治郎は拳で威嚇するに留まっているわずかな違いがとても良いですね。
(恥ずかしい話ですが、まだこの作品にハマりきっていない頃に本誌で伊之助の初登場エピソードを読んでいた時は誰が敵なのか全然わかっていませんでした)

ということで、 「鬼滅の刃」の表紙は主人公・炭治郎と一緒に描かれた人物との、双方向の関係性がわかる絵になっている、と考えました。
なので、5巻の表紙を冨岡義勇が単独で飾ることにも意味があると考えます。



炭治郎が死力を尽くしてなお勝利することが叶わなかった十二鬼月・累を瞬殺した義勇は、炭治郎にとっては並び立つことすら許されないほど遠い人物だと考えられませんか?
同じように、義勇にとっても炭治郎はまだ「俺が来るまでよく堪えた」と評するくらいの強さしかないわけで、(禰豆子のこともあって気にかけてはいるけど)刀を手にした鬼殺隊の剣士としては、義勇から見た炭治郎の力量は眼中に入らない程度なのではないでしょうか。

炭治郎と義勇の関係を考えると、5巻もまた法則性によって描かれたすごい表紙なのでは、という気づきを共有したいための更新でした。
あと、この5巻によって2巻の表紙がまた1つ味わい深くなるんですよね。鬼舞辻がどれだけ炭治郎(=自分に近づいてきた人間)を恐れているのかという、ラスボスらしからぬ壊れた精神構造が見えた気がして、鬼舞辻という人物が気にならずにはいられなくなりました。


「BLEACH」の表紙が人物単独で描かれていたのがとても好きなので、6巻以降も法則性のある表紙が見たいんですが、6巻以降に全く全然違う意図の表紙が来たら笑ってやってください。

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