漫画感想

2018年07月14日

「BURN THE WITCH」感想

冒頭の試し読みはこちら(リンク先公式サイト)

 久保帯人先生が「BLEACH」完結以降に描いた初の新作読み切りということで、初報が出た時から掲載を楽しみにしていました。
 単体の読み切りとしても面白いうえに、ラストで驚きの展開が待っていて、ひたすら楽しい作品です。今年の読み切りNo1になりそうです。

〇どんな話?

 久保先生曰くラブコメの本作。
 "表"のロンドンでは学生として過ごしているノエルが、彼女のパンツが見たいと付きまとう男子・バルゴとのラブコメ――とはなりません。
 "裏"のロンドンでのノエルはドラゴンの保護と管理をする組織『WB(ウイング・バインド)』に所属し、相棒(?)のニニーと任務をこなす魔女である!という設定開示から、主にノエルを通して"表"と"裏"のロンドンを描き、ドラゴン、バトル、ラブコメ、ギャグ、裏切り、どんでん返し、パンツなどがミックスされた読み応えのある作品になっています。
 キャラクターの立ちっぷりは久保先生なので全員(ドラゴン含めて)間違いなく立っていますが長くなるので個々の言及はしません。すみません。

 初報で描かれたノエルとニニーの髪飾りから、彼女たちが魔女でドラゴンなのかなと思っていたんですが、彼女たちは魔女でドラゴンを倒す話でした。(ドラゴンと共生しているので、髪飾りは何らかのパワーアップアイテムなのかも。)
 ストーリーはわかりやすくなっていて、読み切りではよくある「身近にいた仲間が犯人だった」みたいな所もテンプレートっぽいんですが、そこをキャラクターの性格で説得力のある展開に持っていって、ギャグの上手さによって台無しにしてしまうのが重苦しくなくてよかったな、と。バルゴの「えー」はもっともなんですが、読み切りを綺麗に終わらせるのと見開きを持ってくる合わせ技はさすがだな、と。

 一番好きなコマは「今のはちょっとカッコよかったです」です。そう言っているノエルの顔が全ページ通して一番格好いいという。

 そしてセルビーの言動とか、再読すると細かい発見があるので読み返すのも楽しいです。


 
 


以下、ラストページ以降への言及あるので少しスペース空けます。
全部読んでくださる方はお手数ですがスクロールお願いします。










〇設定のあれこれをBLEACHと比べて考えてみる

 BLEACHと同一の世界観でしたという驚愕のギミックがオチとして仕込まれていて、ノエルのパンツどころではないわけです。
 初読では全く気づきもしなかったんですが、読み返すと「この描写はBLEACHのあの辺を連想させるな」とか色々発見がありました。全部挙げていたらキリがないので気になった数個だけ抜き出して考えてみました。

・魔女と死神の違い

 
本編で武器=銃を使って攻撃したのはノエルだけでしたが、カラーページを見るとノエルとニニーが似たようで細かいデザインが違う銃を持っていることがわかります。見開きでセルビーを一発で倒したように、これがWBの主兵装なのかなと思います。斬魄刀に相当するなら、銃の先端に個々人の特性が反映されていたりするのかな…?というところでのノエルの銃が星形であぁーっとなるやつですね。組織内で呼ばれるニイハも218で数字っぽいな、とか。
 ノエルとニニーは生者なのか?というのが読み切りの内容からは予想できません。ノエルが"日本人"らしいので生者かなとは思います。(「BLEACH」で尸魂界の死神たちが和名だからといって日本人の霊魂だと言われたこともないので)
 が、描写が少ない以上は、かつて現世に来たルキア(や他数名)のように学生として潜入しているだけかもしれませんし、そもそも尸魂界なので死者だよなとも思います。
 
 結論:わからん

 蛇足:この辺は虚とダークドラゴンの違いも関わってきそうな気がします。悪人が死んで虚になるのと、人間の悪意を受けてダークドラゴン化するドラゴン、という違いは何かありそうですし。

・人とドラゴンが共生している理由
 ここが東と一番違うところかなと感じました。東(BLEACH)だと尸魂界ではボニーちゃんくらいしか目立って描かれた動物がおらず、虚圏ではバワバワや虚犬(ヤミーの傍にいたやつ)なんかがいましたけど圧倒的に少ないので。
 なんでかとちょっと考えたら、BLEACHの尸魂界は"霊王"を守るように出来ているからだと思いました。死神は護廷とその先にいる霊王を守るために組織を作っていましたけど、敵対する虚は、霊王が死ぬと世界が崩壊するというのに侵攻をしてきました。つまり、人間以外(のプラスの霊)と共生できる文化や発想が東には無かったのかな、と。
 そう考えると西の成り立ちはまた別のもので面白そうです。リバース・ロンドンという呼称が表で言われているものなのか、本当にロンドンを模しているかでも変わってきそうです。もちろんいくら考えても答えはわからないのですが。

 結論:わからん

・BLEACH本編と同一の時間軸なのか?

 結論から言うとわからんのですが、「着メロ」「ドラゴンボール」辺りから考えると同時期っぽいです(DBという固有名詞は50周年記念号との兼ね合いというかリスペクトもありそうですが)。
 「日本じゃ問答無用で全部殺す」というのはユーハバッハとの決戦後には絶対に変わっているはずなので、同時期の最終決戦前かなとも思いますが、組織の一員でしかないニニーに最新情報が伝わっていないパターンも考えられます。

 結論:わからん

 
 以上です。考えても全部わかんないんですが、考えるのって楽しいですよね。
 こうじゃない?みたいな予想があったらコメントくださるとうれしいです。


〇連載化は?

 久保先生の中には描ききれない膨大な世界があって、そこから黒崎一護の物語を切り取ったのが「BLEACH」だと解釈しています。一護の戦いが終わっても世界は続いていく象徴として一勇と苺花が最終話に出てきたのと、今回の読み切りでその考えが強くなりました。
 今回は、一護に全く関係のない所でこんなことが起きている……という、壮大な世界の一面を描いた作品だったのかなと思っています。なので、連載化は無いかなというのが予想です。

 ただ、連載になったら嬉しいことは間違いないので外れてほしい予想でもあります。
 オスシが生きてる(全身が変化してドラゴンに戻ったセルビーと違って犬としての肉体が残っている)ので別種なんじゃないの?とか。
 そもそも冒頭で門が破壊されていたので悪いドラゴンが本部に攻めてきてるんだな、とか。
 戦術隊とか、各種ドラゴンとか、設定はかなり深く作りこんであるだろうな、と思うと妄想が止まりません。いやもうこの感想の9割くらいは妄想でしたけど。

 一勇の物語とか、東VS西とかはいつか見たいのでBLEACH完全版の描き下ろし短編なんかでいつか見られたらな……とは思いますが、まずは画集ですね!
 「BURN THE WITCH」が収録されたコミックスも特典で付くと発表されたので今回の読み切りが面白かった!という人は思い切って買ってしまうのもアリなんじゃないでしょうか。





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2018年07月09日

呪術廻戦 第18話「底辺」感想

コミックス1巻が発売即重版して嬉しい限りです。

〇"底辺"の禪院姉妹
18話のタイトルは「底辺」。
真希が言っているように禪院姉妹のことを指すようです。
真依も術式が使えないのか苦手なのか、真希から見ると「おちこぼれ」とのこと。
この発言から、五条先生が嫌悪する腐りきった呪術界の一部に、禪院家という名前だけが残った"家柄”があるのかな、と考えました。
が、前作の頃から真希にとって禪院家は自分が術師として大成することで見返す対象であることは変わっていません。もし、家そのものが底辺だとすると「見返す」という言葉はふさわしくないし、真希が今回改めて言及しているので、禪院家そのものは呪術師の名門で間違いないのかなと思いました。
もう1人弟か妹がいて、その人が才能に溢れた後継者候補なのかもしれません。

小競り合いの方は、釘崎が再起して戦闘続行かと思いきや東堂が割って入って中断になりました。
アイドルの握手会に参加するという彼の我儘が通って、場の空気が壊れてギャグみたいな形で終わってしまいました。
が、「(真依のサポート無しで迷って)会場に辿り着けなかったら何しでかすかわからん」と言う東堂に真依が逆らえない描写はちょっと怖かったです。
この後の五条先生のシーンもそうですけど、呪術師としてより強い者が好き勝手振る舞う図式が、改革された呪術界として正しいのか…?という点は見逃せないなと思いました。

京都校の印象が悪いだけに真希と釘崎の信頼度が互いに増しているのがわかるシーンが沁みますね。良い。


〇五条悟、怒る

率直に、五条先生もまだ子供なんだなと思わされた一連のシーンでした。
少なくとも立場上は味方の夜蛾学長を欺いて、敵である京都校の楽巖寺学長を挑発する状況を作り出すのが、ちょっと汚いのでは…?ということです。
喋り方も完全に見下していて、東堂と同じでこれもまた怖いと感じました。
が、それだけ今の呪術界に対する怒りが大きいということでもあるのでしょう。
今週の描写でいえば、未来ある呪術高専の学生を自分の傍に付けてお茶を買わせに行って無駄な時間を使わせている(学生として仲間と過ごす時間も術師として修行する時間も奪っている)ことも五条先生にとってはストレスなのでしょう。
五条先生ファンの三輪ちゃん、追いついて会話くらいはできていてほしい。

導いてくれる大人がいなかったからこそ自分がそうなろうとしている五条先生と、大人に対しての怒りが抑えられない五条悟は別のラインで考えていった方がいいのかなと思いました。ここまでブチ切れてる姿が今後見られるかどうかはわかりませんが。

それにしても、今回初登場の楽巖寺学長と2年の三輪、どちらも既にキャラが立っていて楽しいです。
最新版の乙骨も見られたので満足です。


そして次回からは虎杖の"実戦"が始まるようです。
五條先生曰く「重めの任務」らしいので、あっさり乗り越える成長の場になるか、いきなりピンチになるか楽しみです。
宿儺と五条先生が「特級」という尺度に意味がないと言ったように幅が大きすぎるので、今後は特級が必ず出てくると思って読んだ方がいいのかな。


〔宣伝〕呪術廻戦コミックス1巻の感想を書きました
 1話では死という重いものが"正しい"か"間違い"なのか、虎杖の前に立ち塞がりましたが、死だけでなく色々なことにこの2択が迫られていくのかな、と思いながら第18話を読むと色々と発見がありました。感想書いてよかったです。

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2018年07月06日

「呪術廻戦」1巻 感想

「呪術廻戦」の1巻が発売しました。
今のジャンプで一番楽しみな作品です。
(ちなみに「鬼滅の刃」「火ノ丸相撲」も同率1位です。)

作者の芥見下々先生にとっては週刊少年ジャンプでは初連載となる作品です。
が、そうとは思えないくらい登場人物に血が通い、物語の構造はわかりやすいのに複雑に絡んでいる部分もあり、見せ場の盛り上げ方が上手い、など全体のレベルが高く、何より作品そのものが面白いです。

さっそくですが、第1話が無料で読めるのでリンクを貼ります。

呪術廻戦 1/芥見 下々|集英社コミック公式 S-MANGA

類稀な身体能力を持つ高校生・虎杖悠仁は、病床に伏せる祖父の見舞いを日課にしていた。だがある日学校に眠る「呪物」の封印が解かれ、化物が現れてしまう。取り残された先輩を救う為、校舎へ乗り込む虎杖だが!?


読んだでしょうか。
ここからは読んだものとして1話の内容は包み隠さず書きます。

私もコミックスで1話を改めて読みました。
改めて読んでも1話目で話が進みすぎだな、と思いました。

15年以上ジャンプを読んできた経験からすると、「人外のパワーを手に入れた主人公が1話のボスを倒して終わり」というのがだいたいのパターンです。
一般人だった主人公が力を得てボスを見開きでドーン!と倒して、カッケー!となるやつです。大好きです。
でも、「呪術廻戦」はそうなりませんでした。
人外のパワーを手に入れた虎杖を、伏黒が「人間じゃなくなったから殺す」と言って1話は終わります。
正直、ジャンプで最初に読んだ時は置いてけぼりにされた気持ちになりました。

が、何回も読むうちに1話に描かれた作品のテーマがわかり、1話のラストの意味も理解できた気がします。
虎杖は祖父の死と、"呪い"という存在を通して、"正しい死"と"間違った死"があることを知りました。
つまり、「呪術廻戦」は、強大な力を得た少年が呪いと戦う物語――ではなく、戦いや生存といったものの先にある、死を迎えるための物語なのではないでしょうか。
何よりも虎杖に言葉を遺した祖父が「こう生きてほしい」ではなく「こう死んでほしい」と言っていますし。
だから、1話の終わり方は虎杖が行動した結果待っていたのは死だった、という所まで見せる必要があった、と。

この感想を書くまで1話がああいう終わり方なのは、「終盤で虎杖と伏黒が対決する時に同じ構図にするためでは」くらいにしか思っていなかったんですが、自分で感想を書きながら新しい発見がありました。
ちなみに、コミックスの帯に書いてあるキャッチコピーも「少年は戦う。『正しい死』を求めて。」となっています。


まだ1話の話になってしまうんですが、1巻で好きなのは44ページから始まる一連のシーンです。

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伏黒がここで何を考えて「…いや」と答えたのかは2巻でわかります。
が、その答え合わせを抜きにしても、彼の一面がが見えるシーンになっているのはすごいな、と。
伏黒は虎杖の死生観を聞いた直後に、彼が死なないように庇いはじめます。
この時点でクールなだけの奴ではない片鱗が見え始めているのが面白いです。

1巻の表紙は虎杖(と宿儺)だけなんですが、伏黒もまた主人公なのかなと思いながら読んでいます。
物語の大枠も楽しみですが、個人的には伏黒がどう成長していくのか、あるいは呪われてしまうのか、という行く末も同じくらい楽しみで、イチ押しのキャラクターです。


長々と書いてきましたが、2話以降の展開にほとんど触れられなかったので、1話のあの終わり方で虎杖がどうなったか気になった方がいたらぜひ買って読んで欲しいです。


最後に宣伝を2つ。
①芥見先生の初連載であり、本編前日譚の「東京都立呪術高等専門学校」がジャンプ+で期間限定で読めます。
2巻以降で登場するキャラクターが出ていて必須の物語なので、こちらもぜひ。
ブラウザだと1話しか読めませんが、アプリ版をダウンロードしてコインを使えば4話(最終話)まで読めるので、一気読み推奨です。
〔リンクはこちら〕

②紙のコミックスの帯には抽選プレゼント応募券が付いているので、電子で買った人は紙でもう1冊買ってもいいかなと思います。











〔1巻で覚えておきたい要素〕
・百葉箱に"あった"はずの宿儺の指を虎杖は「拾った」と言っている(何者かの意図がある?)
・虎杖が宿儺の器たり得る体質に秘密は?
・祖父が何か伝えようとした虎杖の両親について
・釘崎の友人・沙織

自分用のメモみたいなものなので、気にしないでください。

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2018年03月12日

「終極エンゲージ」 ジョージ・ライアーの影響力がすごい

ジャンプ+(プラス)で連載中の「終極エンゲージ」4巻が発売しました(リンク先は公式サイトです)。
表紙のミムラを初めて見た時に「可愛い」と言ってしまいましたが、本編を踏まえると何とも悲しい表紙です。ミムラ……。

さて、この作品は、プロトタイプである読み切りの「ハトシェプスト」から好きで――
と、「ハトシェプスト」は、ご存知でしょうか。
「終極エンゲージ」で検索してこの更新に辿り着く方が多いと思うので、ファンの方が9割以上という前提であらすじなどは無しで話を進めていきますが、「ハトシェプスト」は読んだことない人が多いかもしれないので、ざっくり説明するとクリスが普通にいい人で、カルキと愛し合っているという設定で、女王決定戦に優勝するために強くなる旅の途中が描かれています。

ジャンプSQ.CROWN 2016 SPRING
ジャンプSQ.編集部
集英社
2016-04-15


宣伝:電子版なら定価で購入できるので、気になる方はどうぞ……!
(コミックス最終巻に収録されてほしいですが)


「ハトシェプスト」の幸せ満載感が大好きなので、連載が始まってからずっと「早く読み切りの展開みたいにクリスとカルキが相思相愛になってほしい」と思って読んでいました。
しかし、連載版のクリスは全くの別人でした。
読んでも読んでも好感度が1話の低いところから上がらず――

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カルキが読者の気持ちを完全に代弁してくれるシーンもありました(なんと3巻)。

しかし、3巻ラストから登場した敵キャラのジョージ・ライアーの正体が4巻中盤で判明してからの怒涛の展開で、自分が期待するところとは全く別のツボを押されて、「終極エンゲージ」そのものに完全にハマりました。

ジョージは作中で一番悪い奴として出てきたんですが、そもそも生きていること自体がありえないという、存在自体が謎を多く秘めたキャラクターでもあります。
そして、彼の登場と共に明かされた様々な事実によって「クリスが地球王になった1年以内に宇宙が消滅する」という、これまでの物語を動かしていた前提が崩されます。
この事実判明以前と以降で、読み返すと序盤の見方が変わってくる構造になっている
のが物凄くて、今現在連載されている漫画の中で一番多く読み返すようになりました。
キャラクターの細かい表情なども含めて、再読時の新発見が多いです
細かい点で好きなのは、ジャナ星で種族間の寿命が話題に挙がった時のクリスの表情です。

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クリスは自分が20年後に死ぬことがわかっている……

クリスの好感度が上がらない、と最初の方で言いましたが、読み返すと全然そんなことないです。再読を前提に複雑な設定を背負わされた主人公……好き。

ジョージの登場によって得られた大きい気付きは、第1話からありました。
第1話ではルス王の王子時代と想い人キーアとの出会いと別れ、そしてディアナの強さが描かれており、どうしてもVSディアナでキーアの首が刎ねられる描写のインパクトの強さに目が行ってしまいがちです。
しかし、改めて読むと次の地球王が望まない形で女王決定戦が行われているという導入から始まっているのがわかります。
4巻だけ読むとジョージは本当に悪いやつでクリスの怒りは当然理解できるんですが、1話のルス王と同じでは?と考えると見方が変わってきます。

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ジョージが抱く宇宙を滅ぼすほどの憎悪とは……?

殺害が禁止されていた初代女王決定戦のルールを踏まえると、参加者の命が奪われることは無かったわけで、生死の運命を握られたという視点では「宇宙の卵」の加護で死ねなかったジョージが本当の意味で最初の被害者だと思います。
グリムヴィアスによって「ジョージが女王決定戦のルールを殺害・武器ありに変えた」ことが判明しました。これは、ジョージは20歳で自分が死ぬことが生まれた瞬間に決まっていたのに、女王決定戦では命が喪われないことに対する怒りなのかなと考えてしまいました。

他にも、初代のラジャス王は本当にいい人だったのか?とか、女王決定戦をやることにしたのは本人の意思なの?とか、
ルス王がキーアの死に際して抱いた憎悪はクリスが生まれたことで消えたのかな…?と思ってしまい、そうなるとジョージとルス王は裏で繋がってない?と考えたりもしました(キーアの死に方とグリムヴィアスの死に方が同じ)。
現時点ではどう見てもラスボスは一番の悪人であるジョージなんですが、全ての発端である宇宙の卵がラスボスなんじゃない?とか、そもそも宇宙の卵って何よ?とか無限に考えられてしまうんです。
とにかく、ジョージ・ライアーが現れたことで既存のキャラクターや物語の世界観が一気に深まったのは間違いありません


また、ジョージの登場によってクリスとカルキの旅にひと段落がついたことで、2人と仲間たちの旅が描かれていた物語も少し広がったように思います。
5巻の内容になりますがポポロの集大成となる主役回があったり、ファリアVSトリウィアが1話を思い返させる内容になっていたりと、もはやクリスとカルキだけの物語ではなく、宇宙に生きる者たちの群像劇になってきているのが、これまた好きな要素の一つです。

語り出したらキリがないのでそろそろ終わりますが、最近一番気になっているのはミムラとピーヴリーの関係性です。

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ジョージじゃなくてミムラの命令で動いてる

ミムラは地球人ではないっぽい(1巻カバーしたのキャラ紹介でも「出身の星」としか書いてない)ので、兄妹(姉弟)だったり、実はミムラの本体だったりするのかなと思ったり……。
「宇宙の卵」の加護を破っているのが謎であり、彼女が特別な存在であるのは間違いないので正体判明が楽しみです。
次に戦うのが"ミムラの研究で増えた"竜種だというのがフラグ全開ですが、ジョージのせいで戦わない可能性もあり、どうなるのか待ちきれません。


展開が早すぎるので全6巻で終わってしまうのでは…?という不安がありますが、今後もクリス、カルキ、ミムラ、そしてジョージの行く末を見守りながら応援していきます。

ものすごく頭の悪い記事タイトルになってしまいましたが、自分にとってもジョージによって作品への思い入れが大きく変わったので全てひっくるめて「影響力がすごい」ということでまとめさせてください。
最後まで読んでくださってありがとうございました。




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2017年12月05日

「怪物事変」1巻を読みました



田舎の静かな村で、家畜が次々と変死するという奇妙な事件が起きておりました。
事件解決の為に東京から呼ばれた「隠神」という派手な格好の男。
調査の途中で男は、村に住む「泥田坊」と呼ばれる不思議な雰囲気の少年と出会うのでございます。
数奇なる怪物物語、これより始まり始まり――。
(コミックス1巻裏表紙より)

ジャンプSQで連載中の「怪物事変」1巻を今さら読みました。
藍本松先生の「保健室の死神」が好きなので、1巻をすぐ買っていたのですが読むタイミングを逃して、やっと読めたので感想を吐き出してみます。
ちなみに、今になって読んだ理由は

これです。
漫画家さんからもらったことのある年賀状は、サイン会でファンレターを渡した西森博之先生だけなんですが、貰えると思っておらずとても嬉しかったので、こうして確実に貰える企画があるなら送らざるを得ません。
という不純な動機でやっと1巻を読みましたが、もっと早く読んでおくべきでした。
やはり面白いです。

〇ストーリー
面白いです、とは言ったものの、1巻の時点では今後がどうなるかわかりません。個人的な印象としては、まだプロローグも終わっていないのではないか…?と思うほどです。
月刊誌ゆえのスロースタートなのか、全容が見えてきません。
怪物同士の戦いになっていくのか、夏羽の両親を巡る旅になっていくのか、もしくは両方が混ざり合って進んでいくのか…?という大雑把な予想しかできません。
物語的な面白さがどうか?というのは2巻以降でわかるのでしょう。

〇主人公・夏羽
ストーリーがどうなるかまだわからないのに読み続けたいと思うのは、この少年が主人公だからです。
藍本先生の表情を描く力がすごい、と思わされる主人公です。
産みの親から捨てられたと思い込み、育ての親や年の近い他の子どもから邪険に扱われ、感情を捨てて生きてきた少年と書いてしまうとありきたりですが、藍本先生の画力によって目だけで感情が読み取れるので、なんかもう愛おしいです。幸せになってほしい。
夏羽が本当に笑った時に泣く自信しかないです。

〇隠神
いい人だから死にそう……。2巻の表紙なのもかえって不穏です。

〇シキ
100%いい奴だというのが言動から隠しきれていないのがもう好きです。
明るいだけでなく、なにかを抱えているのが数コマの描写で伝わるのも好きです。

〇アキラ
かわいい。
夏羽を紹介された時に「シキと一緒だね」と言っているので、彼は純粋な怪物なのかな…?と予想できますが、見た目とのギャップが大きいのか、もしくはより美しくなるのか正体判明に期待が膨らみます。
1巻ではまだ細部がわからないものの、男3人組というのは「保健室の死神」のアシタバたちを思い出すので、間違いない組み合わせですね。

〇一番好きなシーン

01

普段は無表情な夏羽が、自分の死を目前にして作り笑いをして嘘をつく1話ラスト付近の一場面です。
目の光が消えて、この後も1回も上がらない口角を無理矢理挙げるカットがすごいし辛い。
嬉しそうにしている他のシーンと比べると本当に辛すぎる……。
でも、この描写だけで藍本先生の演出力の高さが一発でわかるすごいシーンです。

〇その他気になったところ
・1話の冒頭で鹿の子村は「鹿を敬う」と説明がされていて、1話の真犯人は鹿の屍鬼。これ女将さんは知ってたんじゃないですか…?と想像させる余地があるのがすごい。作りこみが細かいです。
・コンソメパンチ味のおにぎりってあるんですか!?

この感想を書いてる途中で2巻、3巻を買ってきたので、これを書いたら2巻を読みます。
2巻の感想も書きたいです。

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