カガミガミ

2015年02月09日

岩代先生の新連載「カガミガミ」への期待と不安

岩代俊明先生の新連載「カガミガミ」が週刊少年ジャンプ2015年11号からスタートしました。
岩代先生にとっては「みえるひと」「PSYREN-サイレン-」に続く3作目の連載作品になります。

週刊少年ジャンプには連載が3作品打ち切られると帰ってこれないという都市伝説のような恐ろしい噂があります。
16巻続いた「PSYREN」も打ち切り作品だと言われているので、今回の新連載「カガミガミ」が人気を獲得できないと少年ジャンプ本誌で岩代作品を読めるのは最後かもしれない、という不安があります。

その不安の方が期待よりも強い気持ちで「カガミガミ」を読んだ感想を、予想・妄想を混ぜ込みながら書いていきます。


○読みやすい!……けど

式神つかいの少年・嘉神恭介が自称探偵の美好真子と運命の出会いをし、式神の絡む凶悪な事件を一緒に解決していく物語……になるんでしょうか。

1話では主人公とヒロインの出会いがキャラクターの紹介を軸として描かれています。
正直な感想を述べると「よくある1話」というか、これから3週続けて始まる新連載のうち面白い作品や意外性のあるものが2つあったら危ういんじゃないだろうか……と感じてしまったほどです。
ヒロインは可愛いし読みやすいには読みやすいんですが、引っかかるものが無いというか、良くも悪くも岩代先生らしさがないような気がします。

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「PSYREN」の1話はヒロイン・雨宮さんがさっそく壊れていたり、1話のラストで異世界に飛ばされるなど心に引っ掛かるものがありました。
(当時は「P2!」の連載終了が悲しすぎたのと「みえるひと」を未読だったので1話から引き込まれなかったものの、印象にはかなり残る1話でした)

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1話で「あー、岩代作品だなー」と感じたシーンの一つ。独特の空気

「カガミガミ」で岩代作品っぽいなと感じたのは真子単独でアホやってるシーンや、真子と白天丸が会話するシーンなど、まさかの主人公・恭介がいないシーンばかりでした。
あのアゲハの後だと誰が来ても正統派主人公に見えてしまうのかもしれませんが、恭介は岩代イズムが薄すぎる気がして心配です。


○読切版と比較してみる

「カガミガミ」には前段となる読切作品「式神トワイライトデイズ」があります。
2014年28号のジャンプに掲載された「式神~」が手元にあったのと、事件の内容が違う以外はほぼ焼き直しだったので、せっかくなので比較してみました。

まず最大の変更点は間違いなくこれでしょう

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岩代先生がんばった!

あの岩代先生がパンツを…!という感動に打ち震えました。
(ギリギリ確認できるのが「PSYREN」140話くらいです)

という冗談は置いておいて、
ページ数が増えている(読切版・47ページ:連載版・54ページ)ので、その増えた7ページで変わったなと感じたところから。
○羅生丸、恭介・白天丸モードのバトルシーン増加
○ヒロイン・真子の背景強化
以上の2つが目立ちました。

バトルシーンは今後の展開を見据えて、というところでしょうか。
読切版だと人助けメインにもシフトできそうなバトルの分量に感じられましたが、連載ではバトルのボリュームアップだけでなく名前の付いた必殺技が出てきたので、バトルメインの路線でやっていくように感じられました。

真子の背景が強化されたのは、行方不明の少年を助けて表彰をされた過去があり、その時に名探偵を志すようになった設定が追加されたことが一番大きいです。
(読切版ではいなくなった犬を見つけて飼い主?に褒められたのがきっかけ)
何となくですが、行方不明少年は「みえるひと」のガクと同系統の、ヒロインに一途なライバルキャラとして登場しそうな気がします。
(「PSYREN」にもヒロインに一途な頭の無い龍が居た気がしますが忘れました)

あと、真子についてもう1点。
読切版では「本人と繋がりのあるものに触れると『本人の記憶やイメージが視える』能力」だったのが、連載版では「本人と繋がりのあるものに触れると『本人に繋がる光の糸が視える』能力」に変わりました。
真子のバトルヒロイン化は流石になさそうですが、恭介と一緒に出動する必然性がが生じたので、これは良い変更だなと思わされました。
(イメージが視える能力なら、事務所で留守番しててもよくなってしまう)

1話で解決した事件が連続殺人という点は同じでしたが

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読切版の犯人は警察官でした。(連載版の警察官は被害者)
画像の通り、岩代作品らしい狂人だった犯人が、連載版はただの悪い奴になっていたのが残念でした。
が、その反面「式神のつかい方を『ある人』に教わった」と黒幕の存在が1話から仄めかされています。

それに呼応してかはわかりませんが、
主人公・恭介に「先生」がいる設定が加えられただけでなく……

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ジャンプ主人公らしいことを言っています。
つまり、恭介は正統派主人公に化ける可能性があるということですね。
この言葉の真意がわかる頃には、アゲハや明神に負けない立派な主人公に育ってほしいと願わずにはいられません。
白天丸と合体してイケメン青年に変身することなく、彼自身の格好良いシーンを岩代先生なら見せてくれる!と期待を膨らませて、恭介を応援していきたいです。


○一番気になる冒頭のシーン

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最後になりましたが、やはり一番気になるのは冒頭です。
また世界崩壊かよ!と「PSYREN」ファンが叫んだとか叫んでいないとか。

読切「式神トワイライトデイズ」は東京と冥府を繋ぐ地獄の門が開きかけだった平和な頃の話だそうです。
これを踏襲しているとしたら、この世界は開いた後ということになるんでしょうか。
最初の方で「心に引っ掛かるものがない1話」と酷いことを言いましたが、やはりこの冒頭とラスト2ページのモノローグには「どうここまで持っていくんだろう」と気にならずにはいられません。

それにしても岩代先生、「PSYREN」最終巻で「次は楽しくて気楽に読めるものが描きたい」と言っていたのに、1コマ目から重い展開を示唆しているのは何か心境の変化があったのでしょうか……


脇を固める濃いメインキャラが出揃ってから本番!と思いつつも、不安8:期待2くらいの1話でした。
岩代作品ファンの方は「カガミガミ」をどう思われたか聞いてみたいところです。
アンケートを出すことを習慣にして応援をしなくては……。



明神の活躍と……



アゲハの活躍もぜひ!

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